【10月8日 AFP】英国と欧州大陸を結ぶ高速鉄道ユーロスター(Eurostar)の次世代車両を、独シーメンス(Siemens)が供給することが7日、発表された。これまで車両を供給してきたのは仏輸送機器・重電大手アルストム(Alstom)。ユーロスターの決定に驚いた仏政府は、安全性を理由に強い不快感を示している。

 ユーロスター・インターナショナル(Eurostar International)は7日、パリ・ロンドン間の路線に導入する次世代車両10編成を、独シーメンス製の高速鉄道車両ヴェラロ(Velaro)に決定したと発表した。新車両の導入と従来型車両の整備・改修に、8億ユーロ(約900億円)を投資する計画という。

 しかし、ユーロスターの最大株主は、株式55%を保有するフランス国鉄(SNCF)だ。発表を受け、フランスのジャンルイ・ボルロー(Jean-Louis Borloo)エコロジー・エネルギー・持続的開発相とドミニク・ビュスロー(Dominique Bussereau)運輸担当相は「仰天した」と述べ、不快感を表明。声明で、シーメンスの車両が海峡横断トンネルの通行安全基準を満たしているかどうか確認するよう、ユーロスターに要求した。

 これまで車両供給を担ってきたアルストムは、シーメンス製車両は安全基準を満たしていないと主張している。

 仏高速鉄道TGVの車両製造元であるアルストムは、欧州・世界の鉄道車両市場でシーメンスを大きく引き離しており、シーメンスは長年、対抗意識を燃やしてきた。(c)AFP