【10月8日 AFP】国際通貨基金(IMF)のドミニク・ストロスカーン(Dominique Strauss-Kahn)専務理事は、8日から米ワシントンD.C.(Washington D.C.)でIMF・世界銀行(World Bank)年次総会が開催されるのを前に仏高級紙ルモンド(Le Monde)のインタビューに応じ、「通貨戦争の脅威を極めて深刻にとらえている」と述べた。

 同専務理事は「単なる潜在的なものだとしても、通貨戦争の脅威を極めて深刻にとらえている」「通貨戦争は予防せねばならず、IMFは終息へ向けた提案を推進する」などと発言。また、経済回復や特に為替相場をめぐって問題に直面している各国が、国際的な対策をさぐるよりも自国単独での金融政策調整に動く傾向が高まっている点を問題視し、日本の為替介入や、ブラジルのレアル上昇対策などを例に挙げた。

 発言の背景には、輸出拡大によって景気回復を図ろうとする各国が、自国通貨の価値引き下げに躍起になっている事情がある。しかし、通貨引き下げ合戦が続けば、1930年代の世界大恐慌を引き起こす決定打となった「近隣窮乏化政策」の悪夢の再現となりかねない。

 争点の鍵を握る中国に対して欧米は、輸出拡大のために意図的に人民元を過小評価し続けていると非難している。(c)AFP