【10月5日 AFP】日本銀行(Bank of JapanBOJ)は5日の金融政策決定会合で、穏やかに回復しつつある景気をデフレと円高から守るため、事実上のゼロ金利政策を導入する追加金融政策案を発表し、マーケットを驚かせた。

 日銀は政策金利の誘導目標を従来の0.1%から「0~0.1%」へ引き下げるとともに、国債やコマーシャルペーパー(CP)、社債、上場投資信託などの金融資産を購入するための5兆円規模の基金創設の検討を決定した。

 日銀は声明で、「わが国の景気は、緩やかに回復しつつあるものの、海外経済の減速や為替円高による企業マインド面への影響などを背景に、改善の動きが弱まっている」と述べ、「物価の安定が展望できる情勢になったと判断するまで、実質ゼロ金利政策を継続する」との方針を示した。

 金利引き下げは2008年12月の金融危機の中で0.1%に引き下げて以来。経済成長政策を実施するよう政府からの圧力が高まる中、円高対策とデフレ脱却を目指し、金融政策会合で全会一致で決定した。日銀は8月末にも、3か月の固定金利で行っていた資金提供の供給額を20兆円から30兆円に拡大し、拡大分の10兆円について貸出期間を6か月にする追加金融緩和策を決めていた。

 大和証券キャピタル・マーケッツ(Daiwa Securities Capital Market)金融証券研究所の山本真淑(Masumi Yamamoto)氏は、「良いサプライズだった」と語る。「日銀が政府の圧力に従い、考えられる手をすべて打ったというシグナルだ。しかしこのことは、これ以上切れるカードが日銀の手元にないのではないか、との懸念を生み出すおそれもある」と指摘した。

 5日の東京株式市場は、ゼロ金利のサプライズ決定を受けて日経平均株価は前日比137.70円(1.47%)高い9518.76円で取引を終えた。また、東京外国為替市場の円相場は1ドル83.55円から一時83.99円にまで円安が進んだ。(c)AFP/David Watkins