【6月28日 AFP】中国のサッカー代表チームはサッカーW杯南アフリカ大会(2010 World Cup)の本選に出場できなかったが、中国の企業が、VISAやマクドナルド(McDonald's)、コカ・コーラ(Coca-Cola)と並んでピッチ脇の広告で世界の舞台に「出場」を果たした。

 中国のソーラーパネルメーカー、英利集団(Yingli Solar)は、W杯開催前までは中国でもほとんど無名の企業だった。しかし、この2週間で世界中のサッカーファンにその太陽のロゴが知れ渡っただろう。

 英利集団のジェイソン・リウ(Jason Liu)副社長は、南アフリカのヨハネスブルク(Johannesburg)からAFPの取材に応じ、「中国のファンはピッチでわれわれの広告を見て非常に興奮した。漢字の広告が表示されるのを見て、彼らは『参加の方法が少し異なっているだけで、中国がまだ大会に参加しているんだ』と思い、誇りに感じた」と述べた。

 英利集団は、中国初のW杯スポンサーとして、「我が社が世界クラスの企業である」というメッセージを明確に伝えたかったという。

 中国のグローバル製品は、W杯のイベントのさまざまな場所に存在する。瞬時にはわかりにくいものの、ブブゼラからスタジアムの座席、サッカーボールまでもが中国製だ。

 しかし、英利集団は、W杯を世界の半分が見る大イベントととらえ、中国企業のブランド構築を新たな段階へ引き上げようと考えたという。そこには、外国ブランドの単なる工場であることに甘んじている現状から、独自の世界ブランドを構築したいという中国企業の持つ野望がある。

■世界の下請け工場からの脱却目指す

 中国国営新華社(Xinhua)通信とは関連のない中国メディア企業「新華スポーツ・アンド・エンターテインメント(Xinhua Sports and Entertainment)」のリチャード・ヤング(Richard Young)マネジング部門ディレクターは、中国企業がスポーツのスター選手たちの力を抜け目なく利用していることを指摘する。

 中国の家電メーカー、ハイアール(Haier)は米プロバスケットボール協会(NBA)の大手スポンサーだ。また、中国のスポーツ用品メーカーの李寧(Li Ning、リーニン)は、NBAスター選手のシャキール・オニール(Shaquille O'Neal)と近年広告契約を締結し話題となり、その後続々と中国企業が同様の契約を進めている。

 しかし、英利集団のW杯スポンサーデビューはそれらを超える次元に到達したという。ヤング氏は「初めての大きな動きだ。業界にいると『すごいな、それは本物のクーデターだよ』と人びとが口にするのを耳にする。(英利集団は)非常に高い認知度を獲得している」と語る。

 ヤング氏は、英利集団の後に続く企業は多いだろうとみている。「国内外の市場を両方持つ企業がイベントのスポンサーになることが増えている。というのも、これらの企業はかなりの現金を手にしているからね」と語った。(c)AFP/D'Arcy Doran