【6月20日 AFP】バングラデシュの首都ダッカ(Dhaka)郊外で19日、衣料品工場の労働者ら約5万人が最低賃金の引き上げを求め、職場放棄して抗議行動を行い、警察と衝突した。

 警察によると、労働者が職場を放棄し抗議に加わったアシュリアでは、複数の工場が荒らされた。約3時間で沈静化したが、警官40人が負傷したという。

 一方、左派系の労働組合である衣料労働者統一フォーラム(Garment Workers Unity Forum)によると、警察の発砲で負傷した1人を含む100人以上の労働者が負傷した。

■最低賃金 月額約2000円

 米ウォルマート(Wal-Mart)や英テスコ(Tesco)、スウェーデン系アパレルブランド「H&M」など、世界的な大手小売業向けの製品を作っている工場が集中し、同国の衣料品産業の中心地といわれるアシュリア(Ashulia)などで労働問題が相次いでいた。

 労働者側は、メーカー、組合、政府の3者が2006年に合意した月額1662タカ(約2180円)の最低賃金を、約3倍の5000タカ(約6500円)に引き上げるよう要求した。

 バングラデシュ政府はアパレル産業で働く労働者の最低賃金引き上げを提案しているが、国内4500以上の工場が参加する業界団体、バングラデシュ縫製品製造業・輸出業協会 (Bangladesh Garment Manufacturers and Exporters AssociationBGMEA) は反対している。

 しかし前述の小売大手や仏カルフール(Carrefour)、米ジーンズメーカーのリーバイ・ストラウス(Levi Strauss)など、バングラデシュ国内の工場への発注元である欧米系企業は1月、同国の最低賃金は「貧困ラインを下回っており、労働者の不満の一因となっている」として、バングラデシュ首相に一律の賃金引き上げを求める書簡を送っていた。(c)AFP/Shafiq Alam

【関連情報】
【ファッションビジネス・最新時事ニュース】記事一覧