【6月15日 AFP】米地質調査所(US Geological SurveyUSGS)がアフガニスタンで実施していた調査で、同国には少なくとも1兆ドル(約92兆円)相当の鉱物資源が存在していることが明らかになった。汚職がはびこっているアフガニスタンで、こうした豊富な鉱物資源をどのように管理していくかについて懸念する声もあがっている。

 発見された鉱物資源は、リチウムや鉄、金、ニオブ、水銀、コバルトなどで、米国防総省によると、これまで考えられていた以上の規模だったという。同省関係者は、1兆ドルという金額も控えめな見積もりだとしている。

 調査は、米政府によるアフガニスタンの発展産業構築に向けた支援活動の一環として行われていたもので、米政府はアフガニスタン政府と協力して「世界クラス」の鉱山会社の招致を目指していた。

■「リチウムのサウジアラビア」となる可能性も

 米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)によると、国防総省は報告書の中で、アフガニスタンはリチウムの埋蔵量が豊富で、「リチウムのサウジアラビア」になる可能性があると指摘しているという。また、米当局者によると、アフガニスタンの鉄と銅の埋蔵量は、同国が産出国世界一になるのに十分なほどだとしている。

 アフガニスタンは、30年におよぶ紛争が続いている上、旧支配勢力タリバン(Taliban)率いるイスラム武装勢力が台頭している現状から、鉱物資源開発はほとんど行われてこなかった。

■アフガン市民の利益となる計画策定が重要

 米国務省のフィリップ・クローリー(Philip Crowley)次官補(広報担当)は記者会見で、「(鉱物資源からの)収益が、全アフガニスタン市民の利益になるような効果的な計画策定」が重要になるとの認識を示した。

 政治アナリストなどからは、汚職がまん延し中央政府の権力が弱いアフガニスタンでは、ばく大な利益につながる鉱物資源を管理していく準備は整っていないとして、懸念の声があがっている。

 アフガニスタンの鉱物資源開発については、中国とインドが権益獲得を目指しており、大規模銅山開発ではすでに中国企業が契約を獲得している。鉄鉱石の権益については、年内に契約企業が決定する予定となっている。(c)AFP/Waheedullah Massoud