【5月5日 AFP】ギリシャ政府が財政破たんを回避するため、欧州連合(EU)や国際通貨基金(International Monetary FundIMF)からの支援と引き換えに、公務員の昇給や賞与廃止などの追加財政再建策を決定したことに反発した公務員労組などの労働組合は5日、ゼネストに突入し、全土の交通網などが混乱している。

 与党にとって、財政危機を乗り切るために必要な厳しい財政再建策を実行できるかどうか初めての試金石となる。
 
 各地で公務員数十万人が抗議行動を開始したのは4日。5日のギリシャ各地は公共交通がまひし、フェリーや旅客機も波止場や空港に止まったまま。各労組はさらなる財政支出削減と増税に抗議した。首都アテネ(Athens)の古代遺跡アクロポリス(Acropolis)では、共産党系の約200人が「欧州の民衆よ、立ち上がれ」と書かれた横断幕を掲げた。

 ギリシャのゼネストはここ3か月で3回目。政府は6日に議会で緊縮策関連法案を通過させる方針で、賛成多数で可決される見込みだ。

 緊張が高まる一方で、世論調査機関オピニオン(Opinion)の政治学者イリアス・ニコラコプロス(Ilias Nikolakopoulos)氏は引き締め策に国民は耐えると予測している。「当然ながら想定外の事態が起こる可能性は常にあるが、社会的な不満が爆発するとは思えない」

 債務不履行の危機に直面したギリシャ政府は前週末、EUやIMFから向こう3年間で1100億ユーロ(約13兆円)の支援を受けることと引き換えに歳出削減と増税に同意した。

 政府が打ち出している主な対策には、公務員やその退職者への賞与カットや、年金払込期間の3年間延長、女性の定年年齢を男性と同じ65歳に引き上げることなどが含まれている。(c)AFP/Leigh Thomas