【4月19日 AFP】アイスランドの火山噴火に伴う航空機の飛行禁止措置のため欧州の航空・旅行産業が被った経済損失は、専門家らの試算によると、この4日間で15億ドル(約1400億円)に上るという。

 すでに、ブリュッセル航空(Brussels Airlines)はベルギー政府に支援を要請。その他の航空会社も欧州連合(EU)に支援を求めているが、飛行制限が長引けばいまだ不況から抜け出せずにいる欧州経済全体を圧迫しかねず、懸念の声が広がっている。

 企業のリスクマネジメントを行うルイスPR(Lewis PR)は18日までに、欠航やホテルの宿泊キャンセル、クルーズ船の乗客減少など、空港閉鎖と飛行禁止によって欧州の旅行産業は10億ポンド(約1400億円)以上の損失を被ったとの試算を発表するとともに、混乱がさらに2週間ほど続く可能性が高いと警告した。

「航空会社だけに限っても、莫大(ばくだい)な減収に加えて、出発便がキャンセルになった乗客の宿泊援助や帰国支援など多大なコストがかさんでいる。旅行会社や運送会社は今年すでに大雪の影響でかなりの損失を出しており、今回の噴火の影響で限界点に達した企業も出てきた」(ルイスPRのポール・チャールズ(Paul Charles)非常勤役員)

 世界の航空会社が加盟する国際航空運送協会(International Air Transport AssociationIATA)は、今回の空路の混乱で航空会社が計上する損失は「初期段階の控えめな試算」でも1日あたり2億ドル(約184億円)になると発表した。

 会計事務所デロイト(Deloitte)は、もし噴火がしばらく続くようならば、「前年すでに財務実績が過去最悪レベルだった航空会社の経営状況に深刻な打撃となりかねない」と懸念する。前出のルイスPRでは、影響が経済全体に波及する恐れも指摘している。

 こうした事態に、EU加盟各国の運輸相は19日に緊急のビデオ会議を開催することを決定した。航空会社への支援策が議題に上るのは確実とみられる。(c)AFP