【3月11日 AFP】国内98番目の空港となる茨城空港(茨城県小美玉市)が11日、開港した。東京都心から約80キロ。羽田、成田に続く首都圏第3の空港として、格安航空会社(LCC)の就航を誘致したい構えだが、決定している定期便は2路線1往復のみ。収益性に大きな疑問符がつく厳しいスタートとなった。 

 ビジネス利用や海外からの観光客のゲートウェイとなれば、経済の活性化につながるという地元の期待の一方、決まっている国際便は韓国・アシアナ航空(Asiana Airlines)のソウル(Seoul)便と、4月に就航するスカイマーク(Skymark Airlines)の神戸便の2路線のみで、すでに初年度2000万円の赤字が見込まれている。

 滑走路造成にかかった費用は約220億円。一部は航空自衛隊も使用する。

 茨城県の橋本昌(Masaru Hashimot)知事は、既存の首都圏空港に代わる「LCC対応の空港」を目指すと意気込んでいるが、開港のタイミングは航空業界に逆風が吹く最中にあたってしまい、日本航空(Japan AirlinesJAL)は会社更生法に基づき再建中、全日本空輸(All Nippon AirwaysANA)には不採算路線の整理を理由に就航を断られた。さらに規模や利便性で勝る羽田、成田よりも遠いことから、新空港の存在意義を問う声は多い。

 国土交通省の最新発表によると09年度、利用客数が前年を上回った国内空港はわずか8空港だった。地方空港では当初利用予測の20%にも満たなかったところもある。

 茨城空港も例外ではない。90年代に政府や地元自治体が予測した利用状況は国内便4路線、年間81万人の利用客だったが、現時点では20万人の利用しか見込めていない。

 前原誠司(Seiji Maehara)国土交通相は今週、「作った以上は茨城県が自助努力を」と発言し、政府の支援を期待しないよう突き放した。(c)AFP/Hiroshi Hiyama