【2月2日 AFP】中国当局の検閲などを理由に米検索エンジン大手グーグルが中国事業の撤退を検討している問題で、複数の専門家は中国のインターネットの発展にとってグーグル撤退は大きな損失と警告している。

 中国政府のネット検閲問題に加え、グーグルは最近受けたサイバー攻撃は中国が発信元となっていると主張している。このグーグル問題が解決しなければ、中国政府、グーグルの双方が多くを失うことは必至だ。しかし、両者が妥協できる着地点を見い出すのも困難という論調が多い。

■ 損をするのは中国の検索エンジン市場

 グーグルが中国から撤退した場合、より負の面が大きいのは中国の検索エンジン市場だというのは、北京の技術コンサルタント会社、アナリシス・インターナショナル(Analysys International)のリ・ツィー(Li Zhi)氏だ。同社データによると、2009年第4四半期の中国検索エンジン市場シェアは、国内エンジンの「百度(Baidu.com)」が58.4%でグーグルの35.6%を大きく引き離している。

「(百度による)1社独占で競争不在となれば、犠牲となるのは中国の消費者と技術革新だ」と、北京の調査会社BDAのテッド・ディーン(Ted Dean)最高経営責任者も同意する。
 
■ 中国の検閲見直しはありえない

 クレディ・リヨネ証券アジア(Credit Lyonnais Securities Asia)香港のアナリスト、フランシス・チャン(Francis Cheung)氏は、巨大な中国市場はグーグルにとっても魅力であり、中国政府とグーグルは互いに「なんらかの妥協点を見出すしかない」としながらも、「中国政府から妥協を引き出すのは難しい」と認め、特に検閲面の困難を強調した。「グーグルが中国からの撤退を真に望んでいるとは思わないが、同社が掲げる社是は固持したいだろう。しかし、自国の国内法について他者と交渉する政府などどこの国にもない。特に一企業との交渉など考えられない」

 調査会社・北京正望咨詢有限公司(China IntelliConsulting Corporation)の呂伯望(Lu Bowang)氏も同意見だ。同氏は、グーグルは妥協策として、中国語サイトの運営を断念し、その代わりに携帯向け基本ソフト(OS)「アンドロイド(Android)」搭載の携帯電話事業と研究施設を中国に残す可能性が高いと予測する。この方法によって形式上はグーグルの撤退は商業的な理由となり、中国政府のメンツも保たれるからだ。

■ 撤退如何にかかわらず、グーグル苦戦は不可避か

 一方、中国に残るか否かにかかわらず、グーグルは今後も中国で苦戦を強いられると予測するのは、上海のマーケティング会社CMRChina Market Research Group)のショーン・レイン(Shaun Rein)代表だ。

 レイン氏は「中国語サイトを閉鎖して研究部門を残したとしても、中国政府によるグーグル冷遇は避けられない。よって、第一線のエンジニアはグーグルで働こうとは思わないだろう。だが中国語サイトを残しても、グーグルが再び撤退を持ち出す懸念も払拭できない状況では、グーグルとの提携を望む国内企業は多くないだろう」と話す。

 いずれにせよ、グーグルにとっての道のりは平坦ではないようだ。だが、中国でのグーグル事業は失敗と判断するのは時期尚早という点で、どの専門家も一致している。「中国語のグーグルサイトは消滅すると決まったわけではない。まだ駒が動く余地は十分にある」とBDAのディーン氏は語る。「現在、われわれが目にしているのは、まだゲームの途中なのだ」。(c)AFP/Allison Jackson