【12月24日 AFP】米自動車大手フォード・モーター(Ford Motor)は23日、傘下のスウェーデンの高級車ブランド「ボルボ(Volvo)」を、中国自動車大手の吉利汽車(Geely Automobile)に売却することで基本合意したと発表した。最終合意は2010年初めに行われる予定。成長著しい中国の経済力があらためて示された形だ。

 スウェーデンのメディアや英紙フィナンシャル・タイムズ(Financial Times)の報道などによると、買収金額は20億ドル(約1800億円)程度と見られている。この金額は、1999年にフォードがボルボを買収した際の約3分の1以下だという。

 フォードは、ライバルのGMやクライスラー(Chrysler)とは異なり、販売不振を乗り切るための公的支援を受けず自力で破たんを免れているが、2008年12月にボルボを売却する意向を発表していた。08年のボルボの販売台数は、前年比18.3%減の37万4297台だった。

 吉利汽車は、もともとは冷蔵庫の部品メーカーだったが、1997年に自動車部門に参入し、中国最大の民間自動車メーカーの1つに成長した。

 今回の合意により、中国の自動車メーカーが欧州市場に初めて参入することになるとともに、ボルボも中国市場に参入することになる。中国市場は、経済危機によって米国市場が大打撃を受けたことから、現在では世界最大の自動車市場となっている。

 10月には、中国の建設機械メーカー、四川騰中重工機械(Sichuan Tengzhong Heavy Industrial Machinery)が、米自動車大手ゼネラル・モーターズ(General MotorsGM)傘下の大型スポーツタイプ多目的車(SUV)ブランド「ハマー(Hummer)」を買収するなど、世界の自動車業界が大混乱に陥っている間にも、中国の自動車メーカーは積極的に拡大路線を進んでいる。(c)AFP/Rita Devlin Marier