【10月6日 AFP】アフリカにおいて近年増大しつつある中国の影響力は、当初は熱狂的に受け入れられたものの、懸念する声が出始めている。「中国型新植民地主義」の危険性を指摘する専門家もいる。

 アフリカ連合(African UnionAU)の経済部門の専門家は、「アフリカは、新植民地主義の一種から別の中国型新植民地主義へとやみくもに飛び移ってはいけない」と話す。
  
 こうした態度は、2000年に中国・北京(Beijing)で第1回中国アフリカ協力フォーラムが開かれたころの熱狂とは対照的だ。フォーラムで、中国はほかの多くの国々とは異なり、資金源を多様化する手段として民主改革への条件は付けない支援を約束した。

 アフリカには、中国からの輸入品の質が悪い、中国企業はアフリカへの技術移転をほとんどしない、中国は原油以外にはほとんど輸入していないためにアフリカ・中国間の貿易が不均衡、などの不満がある。 

 南アフリカ国際問題研究所(South African Institute for International AffairsSAIIA)は前月、「中国の対外貿易にアフリカが占める割合はわずか4%だが、2国間貿易額は02年の123億ドルから08年の1070億ドルへ約9倍増大した」とする報告書を発表した。

 この報告書によると、アフリカから中国への資金の流入は主にアフリカの採取産業で起こっており、07年は中国の対アフリカ輸入額の87%を占めた。うち83%は原油だった。07年、アフリカは、中国への原油供給国として中東に次ぐ2位(26%)となっており、産油国だけが、中国の増大する影響力の恩恵を受けている。

■慈悲深い中国、は幻想

 南アフリカの研究者、Tsidiso Disenyana氏は、中国のアフリカに対する巨大インフラ建設計画は、地元経済に直接には利益を与えていないと指摘する。創出されるお金が国内経済には流通しないからだという。「中国は、自国の技術者や労働者を送り込んでくる。この国には熟練者、特に技術者が慢性的に不足していることは分かっているが、われわれは、地元の労働者に技術移転や訓練を実施するといった内容の条項を付け加える必要がある」(Disenyana氏)

 一方、中国の駐AU大使は、中国政府はアフリカの債務を帳消しにする、アフリカ大陸への直接支援を倍増、関税を免除するなど、中国アフリカ協力フォーラムで合意された条項の大半を履行していると主張する。

 一部の専門家は、アフリカの短絡的な発想を戒めている。ベナンのあるエコノミストは、「中国が必要な資源を探し求めるのは普通のことだ。しかし、その原材料を切望する様子に直面すると、人々は資源が無尽蔵ではないことを忘れているかのごとく、やみくもに熱中しているように見える。この場所を好きだからだとかわれわれが貧困状態を訴え続けてきたのでこの慈悲深い大国がやってきた、という幻想をアフリカ人はやめるべきだ。今日は中国でも、明日はインドやブラジルがやってくるかもしれない。彼らもまたアフリカの資源を狙っている」と話した。(c)AFP/Emmanuel Goujon