【4月9日 AFP】フランス南東部ベルガルド・シュル・バルスリーヌ(Bellegarde-sur-Valserine)にある英接着剤メーカーScapaの工場で7日夜、工場閉鎖に伴う解雇手当に関する労使交渉が決裂したあと、従業員らが英国人幹部3人および フランス人マネージャ1人を社屋に閉じこめるという事件が発生した。

 組合幹部と会社側の説明によると、4人は入口にバリケートが築かれた一室に、夜通し監禁された。だが翌8日に市役所の仲介で行われた労使交渉で、会社側が解雇手当総額を約2倍に増額することに合意したため、4人は同日夕方に解放された。

 同国では、幹部が工場に監禁されるいわゆる「ボスナッピング(bossnapping)」(誘拐を意味するキッドナッピング(kidnapping)という単語をもじったもの)がこのところ多発している。3月には、米化学・電気素材メーカー3Mの工場長、ソニー・フランス(Sony France)の社長がそれぞれ、金融危機による人員削減に憤った従業員により会社に一晩監禁されるという事件が発生。前週には、米建設機械大手キャタピラー(Caterpillar)の工場で、雇用削減計画に怒った従業員らが、管理職5人を社屋に閉じ込めるという事件があったばかりだった。

 こうした事態を受け、ニコラ・サルコジ(Nicolas Sarkozy)大統領は6日、ボスナッピングの撲滅に全力を挙げると言明した。ボスナッピングに関連して拘束された従業員は1人もいないが、大統領は「解雇に憤る従業員といえども、法には従わなければならない」と話し、取り締まりを強化する方針を示した。 

 最近実施された世論調査では、経済危機による解雇に直面してより良い手当を求めるために幹部を監禁するという方法が「理にかなっている」と考える国民が約半数にのぼっている。(c)AFP/Caroline Nelly Perrot