【3月31日 AFP】(一部更新、写真追加)バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領は30日、経営難に陥っている米自動車大手ゼネラル・モーターズ(General MotorsGM)とクライスラー(Chrysler)への追加支援に関して、存続の可能性をより高めた再建計画を提出するよう両社に求めるなど、厳しい条件を課すことを明らかにした。

 これに先立ち、オバマ大統領の自動車業界再建に関する作業部会は、GMには「より積極的な」再建計画を求めるほか、クライスラーにはイタリア自動車大手フィアット(Fiat)との提携を完了するよう求める意向を明らかにしていた。

 オバマ大統領は、自動車業界の再建には「これまでに前例のない」努力が必要であり、GMとクライスラーの両社に関しては、米政府による支援の下、裁判所による破産手続きを用いた再建も選択肢の1つだとの認識を示した。

 オバマ大統領は、GMとクライスラーが実行可能な経営再建計画を策定できない場合は、「早急に再建を図り、より強靱(きょうじん)な企業にするための1つの手段として」、破産手続きを申請する必要が出てくる可能性もあると語った。また、破産手続きが実施された場合は、「米政府による支援の下」で両社は、「負担になっている過去の負債を早急に一掃する」ことができるとの見通しを示した。

 その上で、「われわれは、米国の自動車産業を簡単に消滅させることはできないし、すべきではない。また、そうするつもりもない」と強調した。

■作業部会が両社に厳しい注文

 大統領作業部会は、GM、クライスラーの両社とも現時点では「存続は難しい」とする一方、追加支援が実施されれば、経営破たんは回避できる可能性があるとの認識を示した。

 大統領作業部会は、総額216億ドル(約2兆1000億円)の追加融資を政府に求めている両社について厳しい見通しを示しており、GMのリチャード・ワゴナー(Richard Wagoner)会長兼最高経営責任者(CEO)はオバマ大統領の求めに応じ、辞任を余儀なくされている。

 大統領作業部会は、GM、クライスラーの両社とも、前年末に合意された、総額174億ドル(約1兆6900億円)に上る政府の支援策で求められた厳しい条件を満たすことができなかったことを強調している。

 大統領作業部会は、特にクライスラーについて、単独企業としては存続不能だとの見方を示し、提携先を探すよう求めている。政府はクライスラーに対し、「フィアットとの提携を完了し、必要な利害関係者の支援を取り付けるための30日分の運転資金」を融資する意向を示している。

 一方、GMに対しては、「より積極的な再建計画と信頼できる企業戦略を策定するため」、60日間の運転資金が融資されるという。(c)AFP