【2月23日 AFP】米カリフォルニア(California)州に大陸横断鉄道が開通してから140年。同州は鉄道を「21世紀における発展の要」と位置づけ、数百億ドル(数兆円)を費やして日本の新幹線とフランスのTGVをモデルにした高速鉄道建設計画を進めている。

 この計画は、およそ10年の建設期間でサンフランシスコ(San Francisco)・ロサンゼルス(Los Angeles)・アナハイム(Anaheim)間を最高時速350キロで結ぶというもの。2025-30年までに北はサクラメント(Sacramento)、南はサンディエゴ(San Diego)までの延伸を目指す。総予算は約480億ドル(約4兆5000億円)で、年間乗客数9000万人を見込んでいる。

 推進派は、鉄道は環境への負荷が少なく、輸入石油への依存も緩和し、45万人の雇用を創出して州経済に大きな波及効果をもたらすと主張する。カリフォルニア州高速鉄道局(California High-Speed Rail Authority)は、2030年までに州の人口が約5000万人に達すると見込まれるなか、空港や高速道路の拡充により輸送効率を上げることは困難だと指摘する。

 AFPの取材に応じたカリフォルニア州高速鉄道局のクエンティン・コップ(Quentin Kopp)氏は、「航空輸送能力や高速道路の増強で人口増に対応するのは、不可能ではないにせよ難しいだろう。高速鉄道は環境面のメリットも大きい。1年に120万バレルの石油を節約できる」と語った。

 アーノルド・シュワルツェネッガー(Arnold Schwarzenegger)カリフォルニア州知事は、「わが国の鉄道は時代遅れで、その速度は100年前と変わらない。世界各国で高速鉄道が走っている現在、わが国、特にわが州には、高速鉄道を走らせる必要がある」と語った。現在世界11か国で高速鉄道が走っているが、米国はその中に入っていない。

 米国の高速列車、ボストン(Boston)・ニューヨーク(New York)・ワシントンD.C.(Washington DC)間を結ぶアムトラック(Amtrak)の「アセラ(Acela)」は路線の大半を在来線の線路を走り、速度も他国の高速鉄道に及ばない

 一方、計画反対派は、高速鉄道の建設費用は810億ドル(約7兆5000億円)に上るとみており、財政難の州の負担をさらに増やすだけで、推進派が主張するような集客も見込めないとしている。さらに、高速鉄道がサンフランシスコ・ロサンゼルス間を「2時間38分」で結ぶとされる点についても「非現実的」と一蹴する。

 また、建設推進派はロサンゼルスとサンフランシスコを結ぶ路線は年間11億ドル(約1000億円)の利益を上げると予測しているが、反対派は年間最大40億ドル(約3700億円)の赤字になるおそれがあると主張している。

 前年11月には州の住民投票で建設費の一部となる100億ドル(約9200億円)の州債発行が認められた。カリフォルニア州政府は建設費のうち120億-160億ドル(約1兆1000億-1兆5000億円)を連邦政府が負担することを期待している。高速鉄道計画は現在設計段階で、2011年の着工を目指している。(c)AFP/Rob Gloster