【11月24日 AFP】(一部更新)英政府は24日、総額200億ポンド(約2兆9000億円)の大規模景気刺激策を発表した。個人消費を下支えし景気後退からの回復を目指す。

 議会での予算編成方針演説でアリステア・ダーリング(Alistair Darling)英財務相は、付加価値税(VAT)の引き下げと、景気刺激策の財源を富裕層向け増税などで賄うことなどを打ち出した。

 同財務相はまた、英経済は2009年も低迷し回復は2010年以降になると語った。

 景気後退への対策として、高額所得者を対象に所得税を将来的に引き上げ、消費意欲を活性化させるためVATを12月1日から2009年末まで、一時的に現行の17.5%から15%に引き下げる見通し。

 また、景気刺激策の財源支援のため、11年から年収15万ポンド(約2200万円)以上の高額得層の所得税率を40%から45%に引き上げる方針。2010年には総選挙が予定されている。

 一方、ゴードン・ブラウン(Gordon Brown)首相は発表に先立ち、英国経済が急激に減退し失業が増加し消費者心理が冷え込むなか、断固とした行動を取ると言明し、公費で賭けをしているとの見方を否定した。

 英産業連盟(Confederation of British IndustryCBI)の年次総会でブラウン首相は「選択肢がないとして、リセッション(景気後退)が進行するがままにしておくことはわれわれの選択肢にはない。それは、80、90年代の(英国の)不景気、日本が金融危機に陥った時、アジア金融危機で犯された過ちだ。(対処が)小出しで遅きに失すれば、被害が拡大し、実体経済でも損失が生じる。さらに景気が後退し、成長が鈍化し、結果的に財政問題が増大するなかで金利と税金が上昇することになる」と述べていた。(c)AFP