【10月29日 AFP】米USAトゥデー(USA Today)紙などを発行する米新聞大手ガネット(Gannett)は28日、8月に続いて約10%の追加人員削減を行うと発表した。また、米名門紙クリスチャン・サイエンス・モニター(Christian Science Monitor)は同日、来年までに紙による発行を取りやめ、米紙初のインターネット上のみでの発行形態に切り替える計画を明らかにした。

 米国の新聞業界は、部数減や広告収入の落ち込みで、コスト削減の動きが加速している。米新聞雑誌部数公査機構(Audit Bureau of CirculationsABC)が今週発表した統計によると、今年9月までの6か月間で、米日刊紙507紙の発行部数が、前年同期比4.64%減の3816万部にまで減少しているという。

 米新聞の発行部数はこれまでも減少傾向にあったが、インターネットメディアとの関係構築や広告提携などが遅れていることや、最近の世界的な景気減速が、状況を悪化させている。

 ガネットが24日に発表した2008年7-9月期決算では、純利益が1億5800万ドル(約153億円)と前年同期に比べ32.5%減少していた。また、8月には、従業員約1000人を削減している。ガネットのウェブサイトによると、同社の従業員数は約4万6100人とされているが、新聞部門で働く従業員数は明らかにされていない。

 クリスチャン・サイエンス・モニター紙によると、紙による発行は週刊とし、毎日のニュースは電子メールで購読者に送る形になるというが、一連の変化は同紙を「毎日更新されるオンライン発行」に移行させることを目的にしたものだとしている。

 同紙編集者のJohn Yemma氏によると、同紙のオンライン化が完了すると、95人が在籍する同紙の編集部門では「わずかな人員削減」が行われる見込みだという。

 クリスチャン・サイエンス・モニター紙は、今予算年度では1890万ドル(約18億円)の赤字を計上する見込みで、同紙の母体である教会「クリスチャン・サイエンス(Christian Science)」に1210万ドル(約12億円)の補てん金を求めていくという。同紙の発行部数は5万部で、ピュリツァー賞(Pulitzer Prizes)を7回受賞したことがある。

 米新聞業界では、ロサンゼルス・タイムズ(Los Angeles Times)も27日に編集部門で75人の人員削減を発表したばかり。(c)AFP