【10月22日 IDO Securities】ワシントンG7以降、相次いで緊急金融政策が出されたこと、リーマン・ブラザーズのクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)決済に大きな波乱がなかった事もあり、TEDスプレッドは縮小、投資家の不安心理を示すVIX指数の反落など、金融市場の混乱一服が示されるようになっているが、欧州景気の後退懸念・ECBの利下げ余地拡大見通しを背景にユーロ売りが進んでおり、ユーロとの連動性の高い原油市場の底打ちも確認できない状況だ。11月7日予定のワシントン・ミューチュアルのCDS決済に絡んだドル買いも意識され、商品市場の上値を抑えている。
 NY原油の過去の季節傾向を見ると、10月に高値を付けて年末安の傾向を辿っており、「世界的な景気後退→需要減少」に加えて、季節傾向も上値を抑える要因となりそうだ。11月18日から今月24日に前倒しとなったOPEC総会での減産幅と、2001年安値から史上最高値までの上げ幅に対する61.8%押し(66.58ドル)水準を維持できるか否かが、テクニカル面・ファンダメンタルズ面からの焦点だ。
 英中央銀行のキング総裁は講演で、「国内需要が急激に、長く落ち込む恐れがある。今まさにリセッション(景気後退)に突入しようとしているようだ」と強い危機感を示しており、米金融システムに対しての懸念から実体経済、欧州圏の金融市場に対しての懸念へとマーケットの関心が移行しつつある中、欧州の動向にも注意を払いたい。

(投資情報部 菊川弘之)
NPO法人日本テクニカルアナリスト協会検定会員(CFTe)ラジオNIKKEI(加藤ゆり(ミス東大)の経済教室)をはじめ、時事通信等でアナリストの目、テクニカル分析情報を掲載。ブルームバーグTV、日経CNBCなど多数のメディアにも出演中。商品先物関係のアナリストとして著名だが、日経平均先物オプション取引や外国為替取引の分析でも定評がある。

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