【10月20日 AFP】金融市場の混乱が世界に拡大する中、外国為替市場では新興国通貨の人気が低下し、ドルや円など従来の取扱い通貨に回帰する傾向が強まっている。

 新興国通貨は高利回り通貨として投資家の人気を集めてきたが、ここ最近の新聞の一面を賑わしているのは悪いニュースばかりだ。

 恐ろしい話はいくつも転がっている。ハンガリーの通貨フォリントは、わずか8週間で対ドルで25%、対ユーロで10%下落した。南アフリカ・ランドが1日の取引ベースで対ドル18%急落したかと思えば、韓国ウォンも対ドルで10%以上下落。チェコ・クルナは17日、4か月半ぶりに対ユーロで最低水準に落ち込んだ。

 低金利の通貨で資金を調達し、金利の高い別の通貨で運用する「キャリートレード」は、特に海外投機筋などの間で非常に人気を集めていた。だが、株式市場の急落で新興国通貨のリスクが認識され、資金はドルや円に避難。ランドやメキシコ・ペソ、ウォン、トルコ・ポンド、ブラジル・レアル、フォリントなどはそろって下落した。

 米経済の悪化が明らかになるにつれ、投資家らは世界的な景気減速が近づいていると確信し、利回りは低いが安全なドルや円、スイス・フランの買い戻しが活発化している。

 ブラウン・ブラザーズ・ハリマン証券(Brown Brothers Harriman)のオードリー・チャイルドフリーマン(Audrey Childe-Freeman)氏は、この2か月で新興国通貨に対する投資家の動向が決定的に変わったと指摘。「資産負債管理(AFM)は新局面に入りつつあり、為替取引も例外ではない。将来的にどのような形になるかは不透明だが、投資家は慎重な姿勢を強めるだろう」と述べている。(c)AFP