【10月18日 AFP】米経済誌フォーブス(Forbes)の長者番付で5本の指に入る米著名投資家、ウォーレン・バフェット(Warren Buffett)氏(78)は17日、ニューヨーク・タイムズ(New York Times)に投稿した論文で、米経済が混乱しているとの認識を示しながらも、米株式の買いを継続する戦略を明らかにした。

 世界最大規模の投資会社バークシャー・ハサウェイ(Berkshire Hathaway)と傘下企業グループを率い、その富を蓄積する手法から「オマハの賢人(Oracle of Omaha)」との異名をとるバフェット氏は、これまで市場の恐怖心が広がりを見せるなかでも米国企業への投資を続けてきた。

 投稿でバフェット氏は、「金融・株式市場は米国でも海外でも大混乱している。この混乱が、実体経済にも悪影響を及ぼしつつあり、その勢いは急速に強まっている」と述べ、「近い将来、失業率は上昇し、経済活動は失速・低迷する。新聞上では恐ろしい見出しが絶えないだろう」との考えを示した。

 一方でバフェット氏は、「だからこそ、米国株式を買い続けている。これまでは、個人資産はバークシャー株と米国国債にしか投じてこなかった」と明かした。

 今後については、「株価が魅力的な水準であり続ければ、バークシャー以外の個人資産は間もなく、100%すべて米国株式になるだろう」と述べた。

 投資に当たっての展望と判断には、ある単純な法則の格言を念頭に置いているとバフェット氏は言い、その格言が「市場心理が著しく強気の時は弱気に転じ、市場が極端に弱気になれば強気に転じよ」であると明かした。

 バフェット氏は現在の状況について、「恐怖心が市場に広がり、熟練した投資家をも萎縮させていることは明白。高いレバレッジで成り立つ事業や競争力のぜい弱な企業について投資家が先行きを悲観するのは当然ではある。一方で、米国の多くの優良企業について、長期的な投資を行う上で弱気になることは、理にかなわない」と分析する。

 さらにバフェット氏は長期的展望について、「健全な企業も一時的に収益が減少する場面もあろうが、多くは今後5年、10年、あるいは20年以内に利益の記録を更新することになるだろう」と語った。

 バフェット氏は、市場が目先、どのように繰り返される乱高下から落ち着きを取り戻すかについて予想できないと強調するが、「市場心理あるいは実態経済が好転するかなり以前に株式市場が上昇に転じ、大幅上昇することもありえよう。小鳥が鳴くのを待っていれば春は終わってしまう」との考えを示した。(c)AFP