【9月23日 AFP】世界の金融市場は22日、米議会で行われている、金融機関の不良資産買い取りに、過去最大規模となる7000億ドル(約75兆円)の公的資金を投じるとする米政府の救済案に関する協議の行方に、疑念といらだちを見せている。

 前週末には大幅上昇した欧州の主要株式市場も、同日は低迷した。また、金の価格は上昇し、ドルは下落した。専門家の間では、議会での承認待ちとなっている米政府の救済案は、歓迎されるべきものではあるものの、予測のつかないリスクを含んだものだとの見方が強い。

 世界を揺るがしウォール街を永遠に変えた激動の1週間で被害を被った、米証券大手ゴールドマン・サックス(Goldman Sachs)と同モルガン・スタンレー(Morgan Stanley)も銀行持ち株会社への移行を決定した。これによって、2社は米連邦準備制度理事会(FRB)の支援を受けやすくなった。

 その一方で、世界の金融業界はいらだちを募らせながら、米政府の金融機関救済案について協議を行っている米議会に注目している。ジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)大統領は22日、慎重な協議を続ける米議会に対し、「救済策が成立しなかった場合は、(混乱の続く米経済に)広範な影響が出る」と語り、早期の承認を促した。

 ニューヨーク(New York)に並ぶ世界の金融の中心地ロンドン(London)は、各国の金融システムに壊滅的打撃を与えた前週の混乱から教訓を得ようとしている。アリステア・ダーリング(Alistair Darling)英財務相は、「金融システムの監督を強化し、銀行が経営難に陥った場合の当局による介入を容易にする」法案を2週間以内に提出すると発表した。

 また、欧州委員会(European Commission)は、米政府の金融安定化に対する取り組みに関し、歓迎する意向を示した。

 ヘンリー・ポールソン(Henry Paulson)米財務長官は、先進諸国に対し、米政府の金融機関救済策に協調するよう求めているが、フランスのクリスティーヌ・ラガルド(Christine Lagarde)財務相によると、先進7か国財務相・中央銀行総裁会議(G7)は米政府の救済策について協議を行い「ほぼ確実に支持を表明する」という。(c)AFP