【10月6日 IDO Securities】注目の米金融安定化法案は修正案が可決したものの、可決報道と同時に利食い売りが加速してNYダウは反落、円は主要通貨に対して反発、独政府が不動産金融大手ヒポ・リアルエステート救済策を全面的に見直すとの報道や、4日に開催された欧州首脳による緊急会合で、各国の資金拠出による基金設立について合意に達しなかったことを嫌気して、ユーロが売られる展開になっている。英独仏伊の首相及びトリシェECB総裁、ユンケル・ユーログループ議長、バローゾ欧州委員会委員長らが出席して行われた金融危機対応のための緊急会合は、共同声明を採択して終了したが、ラガルド仏財務相が提案していた救済基金は、メルケル独首相の反対もあって合意には至らず。実効性には依然疑問が残るものの、金融安定化法案成立と言う形で一応の決着を見た米国から、金融不安の種が今後、欧州に移っていく可能性もあり、欧州圏の動きにも注意したい。
 米9月非農業部門雇用者数は前月比15.9万人減と、事前予想(-10.5万人)より弱い結果となった。米経済が第3四半期に景気後退期入りしていたことを裏付けるものだが、今回の結果には9月半ば以降高まった金融市場の混乱や、ボーイングのストライキなど雇用減に繋がるいくつかの要因の影響が完全には反映されていないと考えられる為、非農業部門雇用者数の前月比減少幅は10月には更に拡大する可能性もある。
 週末にG7、来週以降に欧米主要金融機関の決算発表(15日にJPモルガン・チェース、ウェルズ・ファーゴ、16日にシティグループ、20日にバンク・オブ・アメリカ、23日にクレディ・スイス、30日にドイツ銀行)などを控え、世界的な景況感の悪化による投資家リスク回避姿勢が一段落するには、まだまだ時間が要しそうだ。

(投資情報部 菊川弘之)
NPO法人日本テクニカルアナリスト協会検定会員(CFTe)ラジオNIKKEI(加藤ゆり(ミス東大)の経済教室)をはじめ、時事通信等でアナリストの目、テクニカル分析情報を掲載。ブルームバーグTV、日経CNBCなど多数のメディアにも出演中。商品先物関係のアナリストとして著名だが、日経平均先物オプション取引や外国為替取引の分析でも定評がある。

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