【9月26日 IDO Securities】昨晩のNYは、米新規失業保険申請件数、耐久財受注が事前予想よりも弱い結果となり、ドルは主要通貨に対して全般的に下落したが、米政府の金融安定化策(TARP)が合意に近いことを示す報道を受け、ドル円は一時107円台を回復。その後、シェルビー上院議員がTARPは合意に至っていないことを明らかにすると、106円台半ばに反落するなど、TARPが合意に至るか否かが目先の最大の注目材料となっている。週末に議会を通過すれば、円安が進む可能性はあるが、TARPの実効性に疑問が残ることから、影響は短期的なものになるか?合意を織り込みつつある中、議会を通過しない場合の方が、大きく動くリスク(円高ドル安)が高いと考える。
 新規失業保険申請件数は市場コンセンサスよりも弱い結果となり、2001年9月(前回リセッション時)以来の水準。労働省によるとテキサス州、ルイジアナ州を襲来したハリケーンの影響で申請件数が5万人程度上振れた様だが、これを差し引いても高水準であることには変わりなく、労働市場の更なる悪化を示唆している。8月分新築住宅販売も前月比-11.5%の46万戸と、1991年1月以来の低水準を記録。下落率では昨年11月以来の大きな下げで、住宅価格下げ止まり期待は大きく後退している。米経済が、第4四半期、来年第1四半期と二期連続でマイナス成長を記録する可能性も出てきた中、Fedによる利下げの可能性も高まってくる。
 日本の貿易収支(季節調整前)は前年同月比-143.6%と6ヶ月連続で減少。原油・石油製品をはじめとする「鉱物性燃料」(輸入額全体に対する構成比は約4割)の高騰が輸入総額を押し上げ、輸入は前年同月比+17.3%と3ヶ月連続で2桁の伸び率となった一方、輸出が同+0.3%の横ばいに止まった結果、貿易収支は事前予想(-2,900億円)を上回る-3,240億円の赤字に。季節要因で輸出が減少する1月以外の月に赤字を記録したのは、1982年11月以来。輸出(金額ベース)を地域別に見ていくと、輸出総額の5割強を占めるアジア向けが+6.7%(前月+12.6%)と底堅さを見せているものの、米国向けは-21.8%(前月-11.4%)と一段と悪化しており、ユーロ圏向けも-3.5%(前月+4.1%)と景気後退が示唆される内容に。

(投資情報部 菊川弘之)
NPO法人日本テクニカルアナリスト協会検定会員(CFTe)ラジオNIKKEI(加藤ゆり(ミス東大)の経済教室)をはじめ、時事通信等でアナリストの目、テクニカル分析情報を掲載。ブルームバーグTV、日経CNBCなど多数のメディアにも出演中。商品先物関係のアナリストとして著名だが、日経平均先物オプション取引や外国為替取引の分析でも定評がある。

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