【9月9日 IDO Securities】7日、ポールソン財務長官は、連邦住宅金融局(FHFA)のロックハート局長とともに、連邦住宅抵当公社(ファニーメイ)と連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)の2社の政府支援機関(GSE)を政府の管財管理下におき、政府がGSEの上級優先株購入により資本注入(最大で20兆円以上の公的資金を投入)を発表した。今回の措置は、①GSEをFHFAを管財人とする管財管理下に置く。②財務省はGSEの上級優先株を購入できる旨の契約を締結。③財務省はGSEと連邦貸付銀行に対する信用枠を創設。④財務省はGSEの発行する住宅ローン担保証券(MBS)を購入する、が柱だ。
 英フィナンシャル・タイムズ紙が「バズーガー砲を使った」と表現したように、合計2000億ドルの優先株購入枠と79.9%の既存普通株購入権は、GSEの資産総額(約1兆7000億ドル)、発行済優先株合計(約358億ドル)規模と比較して、充分に大きいと言え、発表後の各国の株式市場は急上昇し、為替市場ではクロス円の買戻しが急激に入った。ここ2週間の動き(円もドルも強く、クロス円が下落)と逆の展開となったが、継続性には欠けた。米金融システム不安に対する懸念を和らげる点ではドルにとってポジティブだが、将来の米財政赤字拡大懸念と言う点からはドルにとってネガティブと言う事が意識された模様。
 さらに、ここ最近の米ドル以外の主要通貨に対する円高は、欧州やオセアニア諸国の景気動向が大きく悪化してきたことに起因しており、国内の低金利、金利低下余地が小さい一方、ここ数年堅調な景気を背景に金融引き締めを継続してきたオセアニア、欧州各国の今後の金融緩和余地は大きいと言え、金利面にマーケットの関心が向いた場合、相対的な円が買われ易い地合は継続しそうだ。
 本日はウィーンでOPEC総会が開催されるが、減産見送りとなった場合、ユーロや資源国通貨と相関の高いNY原油が、一段安に落ち込む可能性にも留意したい。

(投資情報部 菊川弘之)
NPO法人日本テクニカルアナリスト協会検定会員(CFTe)ラジオNIKKEI(加藤ゆり(ミス東大)の経済教室)をはじめ、時事通信等でアナリストの目、テクニカル分析情報を掲載。ブルームバーグTV、日経CNBCなど多数のメディアにも出演中。商品先物関係のアナリストとして著名だが、日経平均先物オプション取引や外国為替取引の分析でも定評がある。

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