【7月21日 AFP】欧州中央銀行(European Central BankECB)は、ユーロ圏の人びとに対し、長期的な成長のためには短期的な痛みも伴うとして、インフレに強い覚悟で臨むよう求めている。

 ユーロ圏での経済活動が急激に減速している兆候があるにもかかわらず、ECBが主要政策金利を引き上げて以来、世論の理解を得ることが重要だということが明らかになってきた。

 6月のユーロ圏のインフレ率は記録的な4.0%に達しており、ECBはこれ以上のインフレを阻止していきたい構えだが、ユーロ圏各国の政治家たちはECBに対し、ユーロ圏の信用状態に影響するさまざまなインフレ抑制政策を緩和するように求めている。

 ECBは、数か月にわたってユーロ圏の経済が縮小することになったとしても、ECBが持続的経済成長を果たすためにインフレ率を2.0%以下に抑えることを目標にしているということを、人びとがはっきりと認識することが必要だと主張している。

 ユーロ圏でも世界各地と同様に、原油・食糧価格の高騰や信用収縮の影響が家計を直撃している。また、ユーロ圏の輸出業者は、1ユーロ=1.60ドルを超える記録的なユーロ高や主要貿易国の景気減速によって大きな打撃を受けている。

 5月のユーロ圏の貿易収支は赤字に転落していうる上に、鉱工業生産高も急落し、今後の経済成長の予測も引き下げられている。(c)AFP/William Ickes