
【4月23日 AFP】北京五輪に向けスポーツウエア業界が増産に力を入れる中、サービス残業や劣悪な環境での労働など、スポーツウエア製造工場における労働者の権利が踏みにじられている実態が「プレイフェア2008(Play Fair 2008)」が実施した調査によって明らかになった。
スポーツ用品産業の労働者の権利を守る国際キャンペーン「プレイフェア2008」の実施した調査によると、スポーツウエア用品メーカーの労働状況は2004年のアテネ五輪からほとんど改善されておらず、「労働者の権利の多大な侵害が今も当たり前に行われている」という。
また、「目標の生産量を達成するために労働者に極度の圧力をかけて」おり、労働者らは長時間のサービス残業をしている。また有毒化学物質にさらされた環境で働き、職場でのいじめや嫌がらせを受けている。
ニューバランス(New Balance)の運動靴を製造する、中国広東省(Guangdong)東莞(Dongguan)にあるスポーツ用品下請け業の工場での調査では、ある労働者が「過労死しそうだ」と調査員に述べた。
この労働者は、調査員に「2人で1時間に120足の靴を接着しなくてはならない。休憩なしで働いている。次の生産ラインへの靴底の供給が遅れていないか、常にびくびくしながら働いている」と述べた。
他にも、アディダス(Adidas)製品の組み立て工場で、残業を拒否したために不快な化学物質を使用する部署に異動させられたり、何時間も立たされるといったことがおきている。
中国南部の珠江デルタ(Pearl River Delta)で、アディダス、ナイキ(Nike)、アンブロ(Umbro)、Filaなどのボールや備品などを製造しているJoyful Long工場では、ほとんどの労働者が週7日勤務している。ある労働者は、「1か月に一度も休日がないのはおかしい」と述べ、「体力的につらいし、心理的にも疲れ果てている」と明かした。
同工場では、1か月に232時間も残業した人もいる一方で、平均時給は法定最低賃金の半分ほどだった。
「プレイフェア2008」は報告書をまとめるにあたって、中国やインド、タイやインドネシアにあるスポーツウエア用品の製造工場300件の労働者らにインタビューを実施した。北京五輪の大手供給メーカーであるアディダスや、ナイキ、ニューバランスなどの大手メーカーの工場も含まれている。
「プレイフェア2008」キャンペーンは、クリーン・クローズ・キャンペーン (Clean Clothes Campaign、CCC)、 国際労働組合総連合(International Trade Union Confederation、ITUC)、 国際繊維被服皮革労組同盟 ( International Textile, Garment and Leather Worker's Federation、ITGLWF)が実施している。
ITUCのガイ・ライダー書記長は、労働者の権利が侵害されていると再三の警告があるにも関わらず、問題を取り上げてこなかったとして国際オリンピック委員会(International Olympic Committee、IOC)を非難している。
ライダー書記長は、「5年前にIOCに初めてこの問題を持ち込んで以来、具体的な取り組みは一つも行われていない。労働者の権利侵害にIOCがどのような対策をとるのか、まだはっきりしていない」と苦言を呈した。
また、クリーン・クローズ・キャンペーン幹部のJeroen Merk氏は、下請け工場の労働条件を向上させる責任はスポーツウエア用品メーカーにあると述べ、「これらの企業が、スポーツウエアと運動靴市場を支配している。共同で取り組み、賃金その他の主要問題で業界をリードしてゆけば、労働者がさらされている悲惨な状況を終わらせることが可能だ」と述べた。(c)AFP







ユーザー制作のスライドショーをご紹介。無料で簡単な会員登録で見られます。
拡大して見られた人気写真ランキング。会員登録で拡大写真が見られます。登録は無料で簡単。
AFPBB News に掲載している写真・見出し・記事の無断使用を禁じます。© AFPBB News