【3月9日 AFP】国王や大統領など各国元首も食事を楽しんだナポリ(Naples)の老舗高級レストラン「カルーソ(Caruso)」が8日、市の未回収ごみ問題で観光客が減ったあおりを受け、無期限に閉店した。

■ゴミ問題で観光客が激減

 カルーソが入るホテル「グランド・ベスビオ(Grand Hotel Vesuvio)」の支配人は「ナポリを訪れたいと考える人はもういない。テレビに映し出されたゴミの山のせいで市のイメージは完全に損なわれた」と嘆く。

 ナポリ湾とベスビオ山(Mount Vesuvius)の絶景を見ながら食事を楽しめるカルーソは、ビル・クリントン(Bill Clinton)前米大統領、フアン・カルロス1世(Juan Carlos I)スペイン国王、故フランソワ・ミッテラン(Francois Mitterrand)元仏大統領なども訪れた名店。

■維持費捻出できず

 同支配人は、レストランの閉鎖は苦渋に満ちた決断だったが他に道はなかったと話す。

「これほど客が激減したことは、これまでにはなかった。160席を持つこのレストランの維持費はとても高い」

 今後は団体予約がある場合だけ、カルーソを開店するという。

■市内にはいまだに3000トンの未回収ゴミ

 危機回避のためイタリア政府は、ゴミの完全回収期限を4か月と設定。日程の半分が経過した8日現在、ナポリ中心部については回収がほぼ完了したものの、市内にはいまだに3000トンのゴミが未回収のまま残る。

 ナポリでゴミ問題が深刻化したのは、ゴミ処理用の埋立地が満杯になった前年12月。今年1月末にはゴミ35万トンが回収されず、市内がゴミで溢れかえる事態も発生した。(c)AFP