2008年2月11日、オーストラリアのシドニー(Sydney)のベーカリー「Edith and Rose」で、デンマークから輸入したバターを見せるペストリー職人。(c)AFP/ Anoek DE GROOT
【2月18日 AFP】オーストラリアの菓子職人、トレーシー・ニクル(Tracy Nickl)さんは、バターを盗まれないように自分のペストリー工房の警備を強化する日が来るとは想像したこともなかった。
しかし、バターの在庫が約2万豪ドル(約200万円)分を超えたとき、ニクルさんは店に警報装置を設置し、深夜の警備パトロールを雇う時期が来たと考えるようになった。
ニクルさんはAFPの取材に対し「(在庫分のバターは)途方もなく高価だ。100箱で6000豪ドル(約59万円)から7000豪ドル(約69万円)だったものが、今では2万豪ドルもするようになった」と答えた。「同じ額の現金だったら、何の防護もせずに放置しておく人はいないと思う」
■乳製品のグローバル需要増と長引く干ばつが原因
乳製品に対するグローバルな需要拡大とオーストラリアで長期化する干ばつという2つの要因が重なり、食品業界の各方面が影響をこうむってきたが、オーストラリアのベーカリー業界は主要原材料であるバターが入手困難となり価格が高騰する中で現在、その新たな被害者として浮上している。
ニクルさんはシドニー南西のサザン・ハイランズ(Southern Highlands)で菓子店「ガムナッツ・パティスリー」を経営しているが、毎週3つの仕入先からバターを購入している。それでも仕入先が品切れのこともあり、「届いていたものはすべて購入している」と語る。バターは今や「非常に入手困難な商品だ。何週間にもわたって、特定の業者からは一切納品されない時もある」という。
■バター価格、1年前の3倍にも
ニクルさんがバター不足に悩まされ始めたのは、オーストラリアが1世紀ぶりの大干ばつに見舞われた2007年の6月ごろだった。2007年初めと比較し、バターの価格は3倍になったという。
牛乳と異なりバターは数か月間、保存が可能なことから、バター製造業者の中には売り惜しみし、バターを出荷せずに大量に在庫する業者もおり、それが供給不足をさらに助長しているとみられる。
さらにアジア市場での需要の伸びが追い打ちをかけ、小規模ケーキ店やパティスリー、ベーカリーらにとってこの事態は「悲劇を作り出すレシピ」となっている。(c)AFP/Madeleine Coorey




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