【1月9日 AFP】フランスのニコラ・サルコジ(Nicolas Sarkozy)大統領は8日の年頭記者会見で、法定労働時間の週35時間制を撤廃したいとの意向を改めて強調した。労働団体らからは激しい反発を招いている一方で、同制度を「過去25年間で最悪の政策」とみなす支持者らからは歓迎されている。

 会見で今年中に週35時間労働制をなくしたいと思うか、と質問されたサルコジ大統領は「正直に思っていることをいえば、答えはイエスだ」と応じた。しかしそれ以上の詳細を述べることは避けた。

 フランスの週35時間労働制は1990年代、社会党政権が失業政策として導入したが、広範囲に及ぶ労働・社会福祉制度改革を掲げるサルコジ大統領が撤廃を唱え、議論を巻き起こしている。

 賛否両論が飛び交う中、フランソワ・フィヨン(Francois Fillon)首相は同日、週35時間制は「過去25年間のフランスで最悪の経済的、社会的過ちの1つだった」と大統領のコメントを援護した。

 両者の談話は、議会で右派の与党・国民運動連合(Union for a Popular MovementUMP)には歓迎され、最大野党・社会党(Socialist)には非難を浴びている。社会党はサルコジ大統領の目標は、週35時間制の撤廃にとどまらず、法定労働時間に関する条項すべてを白紙に戻すことだ、と反発している。

 フランスの主要な全国労働センターの1つ、フランス民主労働連盟(CFDT)はサルコジ氏の発言について、労働時間問題に関する以前の自身の発言と完全に矛盾しており、経済政策というよりもイデオロギー的発想からの労働者攻撃だと批判している。

 各分野でフランスの経済発展が遅れをとっているのは、「寛容すぎる」社会福祉制度のための負担が原因だと感じるフランス人が多い中、昨年の大統領選でサルコジ大統領は、社会党のセゴレーヌ・ロワイヤル(Segolene Royal)候補を破った。(c)AFP