【11月22日 AFP】鉄道ストが続き交通機関がまひしているフランスで21日、事態打開に向けた政府、労組間の交渉が再開し、事態は徐々に沈静化に向かっている。一方で同日、仏高速鉄道「TGV」の路線上で妨害行為が発生するなど一部では緊張が続いている。

 仏国鉄(SNCF)はスト開始から9日目となる22日には、ストの影響は依然として残るとしながらも、交通機関の運行本数については「大きく増加する」との見通しを示した。

 一方でSNCFは、TGV線路上の複数か所でケーブルが放火されるなどの妨害行為が行われたことも明らかにした。この行為に対しては労使ともに激しく非難している。

■交通機関が一部再開

 いくつかの部分では労働者の職場復帰に向けて明るい兆しがみえてきた。地方ではスト中止を求める声が高まり、SNCF労組傘下の2つの労組もスト中止を求める意向を示している。

 ストによる運休は着実に減少しており、21日の段階でSNCFで23%、パリ市交通公団で16%となっている。

■政府側の姿勢にも変化

 政府側は、最大の争点となっている特別年金の納入期間延長については譲歩しない姿勢を示している。50万人とされる特別年金の受給者に対し、ニコラ・サルコジ(Nicolas Sarkozy)仏大統領は「社会的公正の観点から」納入期間を他の公共企業や一般企業と同じ40年に延長する方針を打ち出していた。

 政府は一方で、昇給と年金制度の追加を提案し、反発を和らげようとしている。また、SNCF経営陣も、ストが中止されれば9000万ユーロ(約145億円)の融資パッケージが利用できるとしてメリットを強調している。

■世論調査では政府支持が多数占める

 パリ(Paris)ではストの影響で通勤・通学に2、3時間かかる事態となっており、人々が不満を口にしている。仏フィガロ(Le Figaro)紙が行った世論調査では、ストを「正しくない」とみる意見が68%、政府が「労組に譲歩することに反対」する意見が69%となっており、政府側を支持する意見が多数を占めた。
(c)AFP/Hugh Schofield