【11月21日 AFP】(一部更新)2008年米大統領選の民主党最有力候補ヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)上院議員は20日、クリスマスのギフトシーズンを前に、安全基準を満たさない中国製玩具が輸入されてきたことについて、「子どもたちの安全を脅かしている」として中国を批判した。

 米中部アイオワ(Iowa)州で行われた党集会に、電話インタビューで参加したクリントン議員は、一連の中国製玩具の問題について「1995年、北京(Beijing)で行われた『第4回世界女性会議』の席上で発言した時のように、勇気を持って中国政府に物を言う」と述べ、同候補の外交政策批判を展開するライバルのバラク・オバマ(Barack Obama)上院議員をけん制した。

 また、米国内における中国製玩具のリコールが、年内だけで72件もあったことを指摘。「リコール対象となった3200万個の玩具のうち、実に99%が中国製品だった。なかには『機関車トーマス』など、子どもたちに人気の高いキャラクターも含まれている」と述べ、ブッシュ政権は適切な消費者保護対策を行ってこなかったと批判した。

 クリントン議員の矛先は、玩具だけでなく中国製食品にも向けられた。

 同議員は、中国からの輸入食品についての検査が不十分だとして、米消費者製品安全委員会(US Consumer Product Safety CommissionCPSC)が、同問題で強力な指導力を発揮するよう求めた。

 また、これらの問題への解決策の一環として、食品安全を監視する新機関の設置、子ども向け玩具の鉛含有基準の厳格化、独立した輸入玩具検査機関の設置などを提案した。

「少なくとも、感謝祭ディナーの原料や、クリスマスに子どもたちに贈る玩具が安全かどうか不安に思うような状況は、あってはならないことだ」(クリントン議員)

■「米国内では危険な玩具の販売止まず」との調査結果も

 一方、米公共利益調査団体「US Public Interest Research GroupPIRG)」が、安全基準を満たしていない製品が依然として米国内の店頭に数多く並んでいると警告する報告書を発表するなど、危険な玩具をめぐる問題は解決していない。

 PORGが毎年行っている調査によると、鉛などの有害物質を高濃度で含有していたり、幼児が飲み込む恐れがある小さな部品を含むなど、危険性の高い玩具が、今年度の秋になっても米国内の玩具店の店頭で販売されていたという。

 また別の調査が掲載した米消費者製品安全委員会(Consumer Product Safety CommissionCPSC)の報告によると、2005年には玩具絡みの事故で5歳未満の幼児7万3000人が緊急治療を受け、うち20人が死亡したことが明らかになっている。

(c)AFP