【10月18日 AFP】国連(UN)は18日、2008年を「国際ポテト年(International Year of Potato)」と定めることを発表した。

 国連関係者の一部ではからかう素振りも見られるが、各国政府はあくまで真剣に、農業関連の研究費を調達する絶好の機会だと期待する。

「国際ポテト年」は、「発展途上国における食糧としてのジャガイモの重要性について認識を高める」ことを目的に、国連食糧農業機関(UN Food and Agriculture OrganizationFAO)が提案し、2005年の国連総会で採択された。

■「国際ポテト年」、紛争や外交問題と変わらぬ重要性

 国連では2008年、食糧の確保と貧困緩和のために、ジャガイモの重要性を1年を通じてアピールしていく構えだ。

 関係者の中には、国連の国際年に関する取り組みを軽んじる傾向もある。ある国連高官は「外交官であるわれわれから見れば、紛争問題や国際外交と比べて、毎年の『国際年』に関する活動は取るに足りない事柄だが、専門機関からの提案となればむげにできない。国際コメ年(2004年)、国際山岳年(2002年)・・・今はイタリアが国際天文年を提唱している。1国当たりが許される国際年に関する提案は、最近になって、やっと制限されたばかりだ」と支持する姿勢が弱い。

 しかし、今後20年間、世界人口は毎年1億人ずつの増加が見込まれ、うち95%が途上国における増加だと予測されている。食糧問題の重要性はきわめて高い。

 ビタミンCとカリウムを豊富に含むジャガイモは、有効な栄養失調対策となる。欧州でのジャガイモ消費量は減少傾向だが、途上国では過去40年間で倍増した。

■中国、インド、人口大国はジャガイモに注目

 ジャガイモは、毎年世界で収穫される3億1500万トンのうち半分以上の1億6200万トンが、発展途上国で栽培されている。

 ジャガイモ生産高で旧来、上位だったロシア、欧州、米国を過去20年足らずで抜き、世界一の「ジャガイモ生産国家」に躍り出たのは中国だ。また現在、中国とインドだけで、世界の3分の1のジャガイモを栽培しているという。

 しかし、農業技術に詳しいスイスのThomas Gass国連大使は、ジャガイモ栽培には「変異し続ける疾病に打ち勝つ研究が必要不可欠だ」と語る。

 19世紀中旬、食糧難から数十万の移民が発生したアイルランド大飢饉(ききん)は、当時貧しかった同国の主食だったジャガイモが、メキシコから流入した菌によって汚染されたためだったと、同氏は指摘する。「民間産業はこの種の研究は利益が薄いからと興味を示さない。国連の強い後押しは、公共的役割についての認識を高めるために有効だ」。

「国際ポテト年」は、今週ニューヨーク(New York)で宣言された。2008年は、エジプトのアレクサンドリア(Alexandria)での第7回「African Potato Association Conference(アフリカ・ジャガイモ同盟会議)」や、5月にスイス・ベルン(Bern)で開催される「Europatat Conference(『ユーロパタット』会議)」、12月の「Global Potato Conference(国際ジャガイモ会議)」など、ジャガイモ関連の会議が数多く予定されている。いかめしい学名「solanum tuberosum」が、会議の食事会で公式メニューに載ることもあるかもしれない。(c)AFP/Paola Messana