【10月17日 AFP】ヘンリー・ポールソン(Henry Paulson)米財務長官は16日、米不動産業界の落ち込みは予想以上に長引き、その影響で今年の住宅の差し押さえ件数は100万件以上に上るとの見通しを示した。

 同財務長官は、ジョージタウン大学法律センター(Georgetown University Law Center)で講演し、この中で「不動産市場の調整が進行中だが、前年末のように早期に落ち着くことは見込めない」と述べた。

 また、不動産市場の不況は米経済にも悪影響を及ぼすと強調し、特に最近の低所得者向け住宅融資(サブプライムローン)の問題の影響で住宅の差し押さえが急増していると指摘した。現状では2007年の住宅差し押さえ件数は100万件を超えると見られ、その半数を超える62万件がサブプライムローン関連だという。

 その一方で、同財務長官は、「米国経済は健全かつ多様化しており、今後も成長を続けるだろう」と、長期的には楽観的な観測を示した。

 ポールソン財務長官は、不動産価格の低迷が長引くほど経済成長への影響も大きくなると述べ、これらの問題の解決には債権者が住宅を手放すことのないよう官民を挙げた取り組みが必要だとすると同時に、今後、同様な問題が再発しない仕組みが必要だと語った。

 また、不透明な現在の住宅ローン業界の有り様を見直し、より高度なレベルで統一した不動産ローン業の認可や監視などのシステムを確立せねばならないとの認識を示した。

 加えて、同財務長官は、投資家らによる格付け会社の評価過信を促していないか、現在の金融規制を見直す必要があると締めくくった。(c)AFP/Rob Lever