【9月18日 AFP】米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)は17日、電子版の「NYTimes.com」で有料サービスを一部廃止し、過去記事などの閲覧を無料化すると発表した。2年前に導入したマーケティング戦略を見直す形。現地時間の17日深夜(日本時間18日午後1時)から実施される。

 従来、電子版で過去記事や一部コラムを読むには、有料サービスの「タイムズセレクト(TimesSelect)」に加入し、年間49ドル95セント(約5700円)または月間7ドル95セント(約900円)を払う必要があった。トーマス・フリードマン(Thomas Friedman)氏、モーリーン・ダウド(Maureen Dowd)氏、ポール・クルーグマン(Paul Krugman)氏ら人気コラムニストの記事もこのサービスで提供していた。

 しかし、ネット広告の方が大きな収入が見込めると判断し、無料化に踏み切った。無料化されるのは1851年から1922年までと、1987年から現在までの記事。1923年から1986年までの記事は、一部有料のものも残すという。

 同紙によると、タイムズセレクトの有料サービスは、会員約22万7000人、年商約1000万ドル(約12億円)を集め、目標は達成していたという。

 発表では、計画当初には予期していなかったグーグル(Google)やヤフー(Yahoo)といった検索エンジンなどを経由したユーザーの急増、会員数の頭打ち、ネット広告による収入増といった要因を勘案し、電子版無料化に踏み切ったとした。ただ、広告収入への転換による売り上げ予想は公表せず、閲覧数の具体的な増加見込み数も明らかにしなかった。

 米国の大手新聞の中で、電子版の記事の大半を有料としているのは、ニューヨーク・タイムズを除くと経済紙ウォールストリート・ジャーナル(Wall Street JournalWSJ)のみとなっている。ウォールストリート・ジャーナルの有料サービスによる収益は年間6500万ドル(約75億2000万円)とされる。(c)AFP