【6月6日 AFP】ケープタウン(Cape Town)で、世界新聞協会(World Association of NewspapersWAN)が主催する第60回世界新聞大会(60th World Newspaper Congress)が3日から開催中だ。世界各国の新聞関係者らが集結し、インターネット時代における新聞の生き残りをかけて協議を続けている。

■「インターネットの存在はもはや無視出来ない」という共通認識

 参加者らの意見は総体的に、「純粋な新聞そのものは廃れつつあるものの、最新技術を積極的に取り入れ、デジタル改革を目指せば、新聞『絶滅』の危機は回避できる」とするものが目立った。

 米国を拠点とするGarcia Media GroupMario Garcia取締役は「もはや、事件の現場にはネットが存在するという現実を認めなければならない。報道の拠点もネットにシフトする必要があるのではないか」と述べ、eメールや携帯電話の例を手始めに、ニュース報道の新たな方向性に付いて語った。

 同時にGarcia氏は、「読者が既にインターネット上で読んだニュースを、新聞が翌日報道している状況では、新聞に勝ち目はない」との危惧を表す。また、「現代の読者が新聞に求めているのは、長期的視野に立った斬新な切り口の記事であることを、新聞メディアは理解しなければならない」と訴え、「今や、読者の知識が我々よりも勝っている場合もあるのだ」と述べた。

■新しいツールを使用し、新しい可能性を模索する

 「市民ジャーナリズム」型のウェブサイトNowPublic.comの共同設立者、Leonard Brody取締役は、「今まで報道ビジネスは既存メディアに独占されてきたが、カメラ付き携帯電話などの最新技術により、今や誰でもニュースを発信することが可能な時代となった」と語る。

 NowPublic.comには、世界各地の一般市民9万人から記事や写真が寄せられるという。また、Brody氏は「われわれは、あらゆる事象が記録可能となる時代に急速に突入している」と述べた。

 一方、ワークショップ「新聞の将来における創造(shaping the future of the newspaper)」を企画したWANのMartha Stone氏は、各メディアは、新聞、雑誌、ラジオ、テレビ、インターネットなどの枠を超え、新しい記者を養成するべき時代にきていると主張する。

 同氏は、多くの新聞社が発行部数の低下に苦慮する一方で、新聞社によるネットビジネスの利用者は伸びている事実を指摘した。

 このほか、4日の大会では、全世界で2006年の新聞発行数は2.3%減少している一方、デジタルメディアの台頭にも関わらず広告収入は増加しているとの報告があった。
(c)AFP