【5月28日 AFP】政権に批判的な放送をしたとして、当局に放送免許の更新延長を拒否されていたベネズエラ最古の民放テレビ網RCTVRadio Caracas Television)が28日未明、放映権の期限切れで放送停止に追い込まれた。

 RCTV局の閉鎖は、社会主義革命を推進する上でメディアへの統制を強めようとするウゴ・チャベス(Hugo Chavez)大統領の政策の一環。同日から、ベネズエラの全国放送局4局のうち、RCTVと国営テレビVTVの2局を政府が管理する。

 閉鎖令を出した通信・情報省の前では、週末にかけて民主化活動家らが大規模な抗議を行い、投石する群集に警官隊が放水をあびせた。

 チャべス大統領の政敵らは、RCTVを反対派の声として擁護し、放映権更新を拒否した大統領を非難していた。

 一方、大統領の支持者らは、RCTVスタジオの外で夜通しのパーティを行い、新しい「社会主義的テレビ局」の誕生と、反チャべス的なRCTVの最期を祝った。

 チャべス大統領は昨年の再選直後、RCTVの免許更新を却下し、社会主義を推進するテレビ局「TVes 」へ移行する、と発表していた。ベネズエラ最高裁は、「TVesへの業務移行のため、RCTVは放映機材や施設を一時的に、軍の手に委ねなければならない」との裁定を下した。

 大統領選挙中、同局はチャべス氏を敗北させようと公然と呼びかけた。また、2002年4月に軍首脳部のクーデターによりチャべス政権が2日間、暫定政権に置き換えられた際、同局がクーデターを呼びかけた点を、チャべス氏は許さなかった。

 最近の世論調査では、国民の70~80%がRCTVの閉鎖に反対していた。しかし大統領は26日、同局のメロドラマは国にも若年層にも有害だと批判しながら、「閉鎖はわたしの決断だ」と明言した。

 RCTVはベネズエラに少ない全国放送が可能な局で、視聴率も高い。「テレノベラス(テレビ小説)」として人気のあるドラマやバラエティ番組などを中心とする番組づくりをしていた。

 RCTV閉鎖に対する批判の声は、世界各地でも相次いでいる。国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ(Human Rights Watch)や「国境なき記者団(Reporters Without Borders)」などが非難声明を発表したほか、米上院では前週、RCTV閉鎖に「深い懸念」を表明する決議が全会一致で採択された。(c)AFP/Rafael Noboa