【ソウル/韓国 23日 AFP】韓国で、中断されていた米国産牛肉の輸入が再開された。農林省の当局者がAFP通信に匿名を条件に語ったところによれば、輸入牛肉4.5トンが既に国内に到着しており、仁川(インチョン)空港で検疫を受けることになっている。

 今回輸入された牛肉は、骨片が混入していないかすべての積み荷について検査を終えた後に、市場に出回ることになる。

「骨片が見つかった場合は、(全量ではなく)その積み荷だけを送り返す」と同当局者は説明。

 世界で3番目に大きな米国産牛肉市場である韓国では、米国での牛海綿状脳症(BSE)発生を受けて、輸入禁止措置を設けていたが、昨年3年ぶりに禁輸を解除し、骨付きではない牛肉に限り輸入を再開することで米国と合意した。

 昨年10月から12月にかけても輸入が試みられたが、牛肉から小さな骨片が検出されたことから、検疫当局は3回分の計22トンすべてを輸入禁止とした。そのため、米政府当局からは自国の農家を保護するための口実だとして反発を招いていた。

 米韓両国は今月、10か月にわたる難航した交渉の末、自由貿易協定(FTA)を締結したが、牛肉の輸入再開は正式には締結の条件に含まれていない。

 韓国とのFTAは、米国にとって1993年の北米自由貿易協定(NAFTA)以来最大規模の自由貿易協定となるが、一部有力議員からは、牛肉輸入が全面的に再開されなければFTA締結を認めないとする強硬姿勢が示されていた。

 そのため、輸入全面再開に向けた最初の段階として、韓国側は、全量ではなく、骨片が発見された積み荷だけを送り返すことで米国側と合意。

 国際獣疫事務局(World Organisation for Animal Health、OIE)が来月発表する報告で米国におけるBSEの危険性を見直すことから、より幅広い再開実施に向け検討することが口頭で約束されている。

 加えて、現在米国産牛肉に課せられている40パーセントの関税を今後15年間にわたって段階的に撤廃していくことでも合意している。

 2003年に輸入が禁止されるまで、韓国は年間8億5000万ドル(約1006億円)相当の米国産牛肉を輸入していた。

 写真は23日、仁川空港で荷下ろしされている米国産牛肉の入ったコンテナ。(c)AFP/LEE HOON-KOO