【ソウル/韓国 18日 AFP】韓国の盧武鉉(ノ・ムヒョン、Roh Moo-Hyun)大統領は18日、欧州連合(EU)との自由貿易協定(FTA)締結を目指す交渉を「5月から開始することが可能である」と発表した。

■盧大統領は訪韓中の伊首相との記者会見で言及

 同日、訪韓中のロマーノ・プロディ(Romano Prodi)伊首相との首脳会談後の共同記者会見で、盧大統領は次のように話した。

 「FTAのような協定が及ぼす甚大な経済的効果について、両者が共通認識を分かち合った。国内での激しい反対にもかかわらず、韓国は米韓FTAを締結した。しかし、EUとFTAを締結するにあたっては、国内でそこまで激しい抵抗はないだろう。我々はEUとの協議を5月から開始できる状態だ」。

 米伊両首脳はそのほか、海事兵站業務や産業技術、情報テクノロジー、科学などの分野でより緊密な連携を目指す点で合意したと発表した。また、プロディ首相は、イタリア政府として北朝鮮への人道支援について検討すると述べたという。プロディ首相は17日から3日間の日程で、韓国を公式訪問している。

■欧韓FTAでは農産物分野で多くの「例外品目」を規定

 金漢秀(キム・ハンス、Kim Han-Soo) 外交通商部FTA担当審議官は、欧韓FTAでは両者ともに農産物分野において多くの「例外品目」を提示するとみられることから、米韓FTAよりも交渉は容易に進められるだろう、と予想している。

 アジア域内第3の経済大国である韓国は、すでに約1年に及びEUとの間でFTA締結交渉開始へ向けた準備交渉を行ってきた。韓国対外経済政策研究院(Korea Institute for International Economic Policy、KIEP)では、欧韓FTAが実施された場合には、短期間のうちに韓国の国内総生産(GDP)を2%以上押し上げる効果があると予測する。

■依然くすぶる米韓FTAへの抗議活動

 米国と韓国のFTA締結交渉は10か月にわたる厳しい協議を経て、4月初旬に妥結した。数千に及ぶ貿易品目の関税が廃止され、年間数十億ドルの貿易高増をもたらすと見込まれている。しかし米韓FTAでは、韓国側が国内生産者に打撃を及ぼすとの懸念からコメを協定から除外するよう固執し、コメの市場開放は見送られた。

 しかし、当月実施された世論調査によると、韓国国民の3人に2人が、また国内大手企業の80%以上が、米韓FTAの締結を支持するという結果が出た。一方で、農業関係者やその他の労働団体など自らの失職や廃業につながる恐れのある当事者や反FTA活動家らは交渉期間中、機動隊などとの衝突に至る場面を含む激しい抗議行動を繰り返した。

 警察によると18日はソウル市中心部で、米韓FTA交渉に抗議して今月1日に焼身自殺したタクシー運転手を追悼し、数千人が集まる見込みだ。警察ではデモが暴動に発展する可能性を警戒している。

 写真は釜山(Busan)に開港した貨物専用港、釜山新港。(2006年1月19日撮影)(c)AFP/DONG-A ILBO