【天津/中国 15日 AFP】毛沢東(Mao Zedong)時代の中国において、自転車「飛鴿(Flying Pigeon)」は庶民にとって、快適な生活とはほど遠くとも、一生を通し安定が約束された同国の「平等主義の象徴」だった。
しかし、かつて繁栄した自転車メーカーは今日、自由な生産活動が展開される現代中国において存続の危機に直面している。競争の激化により、売上はかつての半分に落ち込んだ。
1980年代後半に政府が経済改革を推進する以前、飛鴿は北部を中心に中国全土で自転車メーカーの「王」と目され、ほかの主要な国営メーカーを大きく引き離していた。
■かつて、自転車は「富の象徴」
集産主義が支配する中国では、自転車はミシンや腕時計と並び「三種の神器」と見なされていた。それは社会生活に不可欠であると同時に、不自由な時代において富のシンボルでもあった。
飛鴿のZhao Xuejie貿易部副部長は、「人々は自転車を買うために1年間貯金したものだ」と当時を振り返る。
Zhao氏は一方で、「人件費と原料が高騰し利益率が下がっても、自転車の値上げはできない」と厳しい現状話す。
飛鴿は1986年、同社の記録となる300万台を販売した。現在の年間販売台数は、この半分ほどという。また、1980年代後半には約1万人いた従業員も現在は700人に削減され、そうした従業員の多くは、月1500元(約2万3000円)ほどの賃金で働いているという。
競争の激化に加え、自転車は、移動手段としての地位を公共輸送機関や自動車に奪われつつある。それでもZhao副部長は、政府が公害対策に本腰を入れたことで、楽観的な見方を崩していない。
「自転車が環境を守る一方で、自動車は価格も高く購買層が限られる。自動車数が増加すれば、国民にとって大きな問題が引き起こされる。若者の運動にも役立つなど、自転車はまだ、多くの点で優れている」
写真は3月28日、天津(Tianjin)にある飛鴿の生産ラインで車輪を組み立てる従業員。(c)AFP/Peter PARKS
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