写真は11日、設営準備が進む『シャネル(Chanel)』ブース前にて待機するコンパニオンたち。(c)AFP/OLIVIER MORIN
【バーゼル/スイス 12日 AFP】世界最大規模の時計・宝飾品見本市『バーゼルワールド(Baselworld)』が12日にスイスで開幕した。中国の新富裕層の増加により、売り上げを好調に伸ばしつつある高級腕時計だが、関係者の間では、この“高級腕時計ブーム”に今後さらなる盛り上がりを期待している。
■10年間で高級時計輸出額が倍増
『バーゼルワールド』実行委員長Jacques Duchene氏は、「未だかつて、世界中にこれほど潤沢に資本が出回ったことは無かった。スイスの時計ブランド、とりわけ高級品がこれほどの売り上げを記録したことも無かった」と市場の勢いを語った。スイス製時計全体の売り上げのうち、貴金属や宝石、精巧なメカニックを用いた高級製品が占める割合は8割に達する。
スイス腕時計連盟は、輸出額が2006年までの10年間に倍増し137億スイスフラン(約1兆3360億円)に達したと発表。 「年頭から売れ行きは好調で、2007年も成長率は二桁に達するだろう」とスイスの時計会社ティソ(Tissot)代表のフランソワ・チボー(Francois Thiebaud)氏。
■市場の潮流は超高級化へ
統計によると2月のスイスの腕時計の輸出は1年前に比べて12.1%増大。2006年に輸出された腕時計のうち、アジアの占める割合は42.7%。しかし各国の腕時計業界関係者は、全体の生産個数は一貫して落ち込んでいると指摘。
安価で信頼性の高いクオーツを搭載したスタイリッシュなプラスチック製の電池式腕時計がかろうじてスイスの腕時計産業を支えていると言われた1990年代から、市場の構成は劇的に変化した。1996年には‘電池式’腕時計が‘機械式’腕時計の売り上げを海外市場でわずかに上回っていたが、2006年には複雑な手作りの‘機械式’の輸出額が83億スイスフラン(約8093億円)に達した。その一方で、‘電池式’は44億スイスフラン(約4290億円)に止まっている。
■中国2億人の中流階層がターゲット
香港貿易発展局(Hong Kong Trade Development Council)のRalph Chow氏は 「腕時計市場は明らかに高級化を志向している。香港の時計メーカーは品質、デザイン、そして製造スピードを重視するようになっている」と語る。「ターゲットは中国の2億人の中流階層の消費者。さらにその上には、30万人の富裕層が存在する」とChow氏。
香港の腕時計輸出額は2006年に2.0%増の60億ドル(約7159億円)に達した。その他の宝飾品の輸出額は14%増の37億ドル(約4414億円)だった。
■タイタニック号の残骸が素材?
『バーゼルワールド』に参加する腕時計メーカーは金やプラチナなどの貴金属にダイヤモンドなどの宝石を埋め込むなど凝ったデザインの製品を出品している。ある専門メーカーは、沈没した「タイタニック」号の残骸から取り出した酸化鉄に、チタニウム、ハイテク部品素材、サファイアのガラスを組み合わせた超高級腕時計を出品した。
しかしこうした「超高級品」指向は、業界上層部にある種の反発を引き起こしている。チボー氏はスイスの『ル・タン(Le Temps)』紙で「一部の高価格は行き過ぎで、市場の傾向を悪用している。10万スイスフラン(約976万円)程度が適正な価格だ」と語った。
さらには模倣品すら高級志向を強めている傾向を業界関係者は指摘する。「模倣品の製造も専門家の領域になりつつある。安いまがい物の時代は終わった」とDuchene実行委員長。
『バーゼルワールド』は4月19日まで開催され、45か国から2109のメーカーが参加。うち3分の2を欧州のメーカーが占めている。香港が設置した最大規模のパビリオンには、326社のブースが入っている。
写真は11日、「クリスチャン・ディオール(Christian Dior)」ブースで会場設営準備をする女性従業員。(c)AFP/OLIVIER MORIN







