写真は7日、韓国の首都ソウル(Seoul)で米韓FTAに反対を唱える数千人規模のデモの様子。(c)AFP/CHOI WON-SUK
【東京 8日 AFP】米韓自由貿易協定(FTA)が妥結したことを受け、アジアでは、これまで行き詰りを見せていた各国間のFTA締結へのプレッシャーが高まっている。
今回の基本合意が米韓両国の議会で反対派の抵抗を押し切れば、韓国はアジアで初めて米国と自由貿易協定を結ぶ主要国となり、同国の米国市場における競争力に拍車がかかることとなる。
東京大学の伊藤元重教授は、日・中・韓の3主要国間や対米国における協定締結交渉が促進される可能性を指摘する。
「これまでアジア諸国は、大規模な自由貿易協定を持たずに国境を越えた貿易網を構築してきた。だが、今回の米韓合意により各国指導者は、より自由な貿易を求める必要性に迫られることになる」
タイと自由貿易協定を前週に締結したばかりの日本は、対米FTAを研究すると発表。オーストラリアとのFTA交渉を今月開始するほか、韓国との交渉再開も視野に入れている。過去に日本政府は、東南アジア諸国連合(ASEAN)に加盟する10か国に日、中、韓、インド、オーストラリア、ニュージーランドを加えてアジア・太平洋地域の16か国による自由貿易地域を提案している。
■自動車、電子部品に影響か
専門家らは、米韓FTAが発効した場合、とりわけ日本と台湾のハイテク産業が大きな打撃を受ける可能性を指摘する一方で、サムソン電子(Samsung Electronics)や現代自動車(Hyundai Motor)などの韓国企業も、急激に成長する中国と円安を享受する日本勢に伸び悩みを感じることとなると予測する。
経済同友会の北城恪太郎代表幹事は前週、政府による貿易交渉の加速を望むと語り、米韓FTAが自動車メーカーや電子部品メーカーを中心に、日本企業にマイナスの影響をおよぼすとの警戒感を表明した。
これに対し、早稲田大学の浦田秀次郎教授は、自動車メーカーは製造拠点を米国に移していることから、韓国企業の追い上げにも比較的柔軟に対応できるとの見解を示している。
一方、中国にとっては、11日から予定している温家宝(Wen Jiabao)首相の訪日は、こうした問題を安倍晋三首相と討議する機会となる。もっとも、両国間に存在するこれまでの隔たりから、具体的な進展はないとの見方が強い。
これとは対照的に、温首相は翌週の訪韓を前に、急速に進む自由貿易地域構想に韓国が加わるよう同国に求めている。
写真は7日、韓国の首都ソウル(Seoul)で米韓FTAに反対を唱える数千人規模のデモの様子。(c)AFP/CHOI WON-SUK