写真は都内で5日、記者会見を行う世銀エコノミストのブランバット氏(右)とHofman氏。(c)AFP / Yoshikazu TSUNO
【東京 5日 AFP】世界銀行(World Bank)は5日、「東アジア大洋州地域半期経済報告書」を発表。「東アジア経済は、10年前の金融危機を乗り越えて発展を遂げている」とする一方、「格差拡大、大気汚染、都市の過密人口などの新たな危機に直面している」と警告した。
■2010年までに東アジアのほとんどの国が中所得国に
同報告書によると、1997年、タイ通貨バーツの急落を機に、アジアを襲った通貨危機から10年。東アジア新興経済国の成長率は、発展著しい中国をけん引力として2倍に拡大。1人当り収入は75%に急増した。
2010年までに、中国、インドネシア、マレーシア、フィリピン、タイ、ベトナム、香港、韓国、シンガポール、台湾の10か国のうち、9か国までが中所得国となると予測されている。また、同地域で1日2ドル(約235円)以下の貧困ラインを下回る生活を送る人々の割合は、10年前の50%から29%に改善したが、貧富の差が拡大している点も警告している。
■経済成長の裏で、急激に拡大する格差
しかし、一方で報告書は、中所得国が陥りがちな「罠」を回避しつつ、高所得国への移行をはかるという難題を抱えていると指摘する。経済成長が生み出す富の恩恵は地方にはもたらされず、東アジアの急成長をけん引する要因は、同時に格差の拡大の遠因ともなっているという。
世界銀行東アジア大洋州地域担当のチーフ・エコノミスト、ミラン・ブランバット(Milan Brahmbhatt)氏は記者会見で、東アジア地域は「伝統的には貧困の撲滅という点で成功している」と評価する一方、「格差が急激に拡大している」との懸念を示した。
中国担当のチーフ・エコノミスト、Bert Hofman氏も、中国における貧富の差は「極めて深刻」と語る。「かつての中国はスウェーデンのような均等社会だったが、今はアルゼンチン並みに貧富の差がみられ、ブラジルのような国に向かっている」
■大都市への人口流入による問題も
加えて、急速に進む都市化も大きな問題となっている。同地域の都市人口は、2025年までに65%も増加するとみられ、現在でも問題の多い道路、電気、水道、衛生などのインフラ整備への大きな負担となることが予想される。
また、同地域の都市人口の30%(約2億7000万人)がスラム生活を送っているが、2030年にさらに9000万人がスラム人口に加わるだろうと報告書は警告している。
写真は都内で5日、記者会見を行う世銀エコノミストのブランバット氏(右)とHofman氏。(c)AFP / Yoshikazu TSUNO