写真は9日、ケープタウン(Cape Town)から北に25キロのDurbanville Hillsのブドウ園の収穫の様子。(c)AFP/RODGER BOSCH
【ステレンボッシュ/南アフリカ 19日 AFP】土地が肥沃な南部・ケープ地方のワイン農園でラクに暮らしたい――ワイン農家の夢は、その輸出額減少と国内販売高の伸び悩みにより、夢のままで終わりそうな気配を漂わせている。
美しい山々に囲まれた街、ステレンボッシュ(Stellenbosch)は、300年にも及ぶブドウ栽培の歴史を誇る。だが、この地のブドウ園には現在、「売り地」の看板が点在している。
地元の不動産会社によると、ワインの製造・販売による利益が縮小するにつれ、ステレンボッシュでは過去数か月間で、少なくとも30のワイン農家が農園を手放したという。
■世界的な供給過剰が影落とす
低価格ワインを売りとしてきたワイン産業が不振に陥った最大の原因は、世界的な供給過剰による価格の下落にある。現在のワインの価格は、ブドウ1トン当たりの予想価格の3分の1にも満たない。南アフリカは世界第8位のワイン産出国だが、2006年度の輸出額は4%低下し、13年ぶりに減少に転じた。
生産過剰については、現在の在庫をさばききれないワイン農家協同組合、蒸留業者、貯蔵業者らが、貯蔵スペースがないことを理由に、農家に補助金を支払ってまでブドウの収穫を控えてもらっているのが現状だという。
他のワイン生産国もこうしたワイン価格の低落に危機感を感じているが、南アフリカの場合は高級ワインの需要を過小評価してきたことや、国内市場の活性化を怠ってきたことが事態を複雑にしている。
■高級ワイン市場が「狙い目」
ネット上でワインを販売するCybercellarのマーケティング・マネージャーは、「低価格ワインは市場に十分出回っており、オーストラリアやチリといった大量生産国が独占している。それに比べ、高級ワインは狙い目だ」と分析する。
ステレンボッシュの「ラステンバーグ・ワイン(Rustenberg Wine)」の担当者も、高級ワインの生産者は高い利益を上げていると語った。
高級ワインであるラステンバーグは、英国市場をターゲットに、1本6ポンド(約1360円)で販売されている。価格は、前年20%ずつ上昇を続けているという。
先のステレンボッシュ担当者によると、南アフリカはアパルトヘイト(人種隔離政策)時代に国際社会から孤立していたこともあり、ワイン農家の多くは経営やマーケティング、長期計画の策定能力に欠けているという。
写真は9日、ケープタウン(Cape Town)から北に25キロのDurbanville Hillsのブドウ園の収穫の様子。(c)AFP/RODGER BOSCH