【サンフランシスコ/米国 17日 AFP】ニューメキシコ(New Mexico)州の男性用便器に取り付けられた新型装置は、客が用を足そうとする際、音声を発して飲酒運転の危険性を訴える。

 前週に始められた同州運輸省の試験的プログラムとして導入された「電子便器装置」は、客が便器の前に立つとこれを関知し、官能的な女性の声で酔って運転しないよう警告を発する。

 警告の内容は、事故の危険、警察につかまった際の煩雑さなどを訴えるものだが、冗談交じりに「あなたの将来はあなたの手の中」と結ぶ。

■「厳格」に警告

 州運輸省のTom Trowbridge氏は、「この装置が発する女性の声は男性の気を引きつつも厳格なもの」と説明する。同州はニューヨーク州ロングアイランド(Long Island)のWizmark Technologiesから単価22ドル50セント(約2684円)のこのシステムを500個を購入し、州内各地のバーやレストランに配布した。

 装置の開発者であるRichard Deutsch氏は、「飲酒した後、運転前に男性が最後に立ち寄る場所はトイレ。用を足す際、いやでも耳は開いている」と語る。

 同氏は開発のきっかけについて、あるとき空港のトイレを使用した際、排せつ行為以外に考えることがないことに気づいたからだという。

 生体工学を学んだ脊椎指圧師でもあるDeutsch氏は、「これは想像力と小便の結晶」と述べ、「軽いユーモアとちょっとした『ドライ』な機転を融合しようと務めている』と話す。

 この装置はバッテリー式で、「ファスナーを下ろし、完全に無防備になるのを待って」作動するとDeutsch氏は話す。

 女性の声は「訪問者」に対し、「お酒を何杯か飲んだのなら、よく聞いて」と始める。そして“彼女”は、酒を飲んだら酔って運転するより、タクシーに乗るか酒を飲んでいない友人の車に乗って帰宅するのが懸命であると強く主張する。

 Trowbridge氏は、「男性は用を足す最中に女性に話しかけられることに不慣れな分、話の内容を考えるもの」と話し、効果が認められればプログラム拡大の可能性もあるとする。

 写真は便器と、それを披露する女性(1999年3月22日撮影)。(c)AFP