【8月19日 AFP】フィリピン中部セブ(Cebu)の沖合で16日夜に起きたフェリーと貨物船の衝突事故で、18日までに38人の死亡が確認された。

 18日の救助活動は、沈没したフェリー「トマス・アクィナス(Thomas Aquinas)号」の船内に閉じ込められているとみられている80人以上の行方不明者の捜索に費やされた。衝突から10分もたたないうちに沈んだ同号には、乗客乗員800人以上が乗っていた。

「船内の部屋の中に空気がたまる場所ができて、そこに生存者がいる可能性はある」と、海軍の報道官、グレゴリー・ファビック(Gregory Fabic)少佐はAFPに語った。そのような状況で72時間は生きられると言う。「まだ希望はある」

 しかし速い潮の流れと荒波のせいで、海軍と沿岸警備隊のダイバーたちは夕方までに船内にたどり着けず、船外で見つかった遺体を収容するぐらいしかできなかった。
 
 公式発表で死者数は18日朝の31人から38人に増えた。当局は生存者がいる可能性は低いと警告している。

■フェリーから燃料油が流出

 一方、沈没したフェリーから流出した燃料油が5キロ以上にわたって広がり、沿岸の村々や漁場、マングローブ林に流れついている。当局者によるとフェリーは沈没時に約12万リットルの重油を積んでいた。ダイバーが流出源にたどり着けていないため、まだ流出は止まっていない。

 沈没現場から約5キロのマングローブ林を訪れたAFPの記者によると、干潮時にマングローブが黒い油で覆われ、油膜の張った浅い水面を鳥がもがくように進んでいたという。(c)AFP/Cecil MORELLA