【7月7日 AFP】(一部更新、写真追加)カナダのケベック州(Quebec)ラックメガンティック(Lac-Megantic)で6日未明、石油を輸送中だった貨物列車が脱線し、爆発炎上した。この影響で周辺の建物数十棟が破壊され、少なくとも80人が行方不明になっている。

 複数の目撃者によると、脱線は6日午前1時20分(日本時間同日午後2時20分)ごろ発生し、爆発が6回起きた。これにより大規模な火災が発生した。当初の避難区域は現場周辺1キロだったものの、大気中の有害物質に対する警戒措置として拡大され、住民2000人が避難を余儀なくされた。

 現場から戻った消防隊員は匿名を条件にAFPに対し、当時飲食店内にいた少なくとも50人が火災に巻き込まれて死亡したとの認識を示し、「現場には何も残っていない」と語った。

 ケベック州警察のスポークスマンはこの日遅く、これまで正式に確認された死者は1人にとどまっていると述べた上で、「死者は今後増えると予想している」とコメントした。また、事故発生から12時間を過ぎても「火災は鎮火しておらず、捜査員が現場に近づくことさえできない」と付け加えた。

 ラックメガンティックはモントリオール(Montreal)の250キロ東、米メーン州(Maine)との国境近くに位置する景勝地で、人口約6000人の小さな町。25キロ南のメーン州から出動した消防士も含む150人前後が消火活動を行った。遺体捜索は7日の夜明けとともに始まる予定。

■「乗員不在で発車」と鉄道会社関係者

 列車が脱線した原因は今のところ不明だが、鉄道会社モントリオール・メーン&アトランティック・レールウエー(Montreal Maine & Atlantic Railway)の関係者はAFPに対し、乗員交代のため列車がラックメガンティックから約13キロ西のナント(Nantes)で停車していたことを明らかにした。
 
 関係者によると、列車はどうしたわけか、ブレーキが作動していたにもかかわらず動きだし、ラックメガンティックに続く坂を下り始めた。その結果、「乗員不在」の状態で列車が脱線したという。

 カナダの輸送安全当局は、直ちに現場に調査チームを派遣した。(c)AFP/Clement Sabourin