【5月16日 AFP】ミャンマーとバングラデシュの当局は15日、サイクロン「マハセン(Mahasen)」の接近を受け、数十万人に避難命令を出した。16日か17日にバングラデシュとミャンマーの国境付近に上陸すると予想されており、国連(UN)によると、800万人超が被害を受ける恐れがある。

 バングラデシュ政府は低地に住む70万人を避難所へ移動させた。一方、ミャンマー政府は洪水が起きやすい北西部の沿岸地域に住む約16万6000人を安全な場所へ避難させる計画を発表した。

 だが、約200人の死者を出した2012年の仏教徒住民との衝突後、ミャンマー西部ラカイン(Rakhine)州で避難生活を強いられているイスラム系少数民族ロヒンギャ(Rohingya)人の多くは、当局や同州の仏教徒に対して深い不信感を抱いており、怖くて移動できないと話している。国内避難を余儀なくされたロヒンギャ人は約14万人に上るとされる。

 ラカイン州の州都シットウェ(Sittwe)郊外のキャンプで生活するイスラム教徒の男性は「われわれはここで死ぬかもしれない。行く所がないんだ」と話した。AFPの記者らは15日にキャンプ2か所を訪れたが、集団での避難が行われている様子はほとんど見られなかった。

 13日には高台に避難するロヒンギャ人を乗せたボートが転覆し、58人が行方不明になる事故が起きている。(c)AFP