【11月1日 AFP】イタリアでは10月31日、各地で悪天候に見舞われ、本土と島々を結ぶ交通に影響が出たほか、シチリア(Sicily)島では予防措置として一部の小中学校が休校になり、トスカーナ(Tuscany)地方では前年の洪水で大きな被害を受けた地域の約50人が避難した。

 水の都ベネチア(Venice)では「アクアアルタ(acqua alta)」が発生し、観光名所のサンマルコ広場(Piazza San Marco)が冠水した。午後には水位が1.1メートルに達し、市長は市内の主要通路に木製の渡り台を設置するよう指示した。水位は深夜には1.4メートルに達した。

 ベネチアで起きた史上最悪のアクアアルタは、イタリア各地で洪水が発生した1966年11月4日に発生したもので、このときの水位は1.94メートルに達した。

 近年、海面上昇の脅威にさらされているベネチアでは、洪水から街を守るため入り江に可動式の堤防を建設するという画期的なプロジェクトが進んでいる。

 旧約聖書のなかでユダヤ人たちを率いて水が引いた紅海を渡ってエジプトを脱出した預言者モーゼ(Moses)にちなんで「モーゼ」プロジェクトと名づけられた堤防建設には3000人の人員と54億ユーロ(約5600億円)の費用が投じられた。完成は2014年の予定だ。(c)AFP