【10月30日 AFP】(一部更新、写真追加)大型ハリケーン「サンディ(Sandy)」は29日(日本時間30日午前)、温帯低気圧に変わり、米ニュージャージー(New Jersey)州アトランティックシティー(Atlantic City)近郊に上陸した。米国立ハリケーンセンター(National Hurricane CenterNHC)が発表した。

 サンディはカナダから下りてきた寒冷前線とぶつかった直後に温帯低気圧に変わったが、NHCによると上陸後も風速およそ36メートルとハリケーン級の勢力を保ち進んでいる。

「フランケンストーム(怪物暴風雨)」と呼ばれるサンディの影響により、米東海岸の各都市で洪水が発生。倒木により電線が切断され、夜を迎えようとするなか数百万世帯が停電したほか、鉄道の運行も停止し、空港は足止めされた多数の旅客であふれている。また内陸部にも強風や激しい雨や雪をもたらしている。

 沿岸部はハリケーンで通常みられる高潮や豪雨に見舞われた一方、ウェストバージニア(West Virginia)州やノースカロライナ(North Carolina)州の山岳地帯は大雪に見舞われている。サンディの中心気圧は940ヘクトパスカルまで下がり、同地域での最低記録を更新する勢いだ。

■商業活動止まり、大統領選にも影響

 ニューヨーク(New York)、ボストン(Boston)、ワシントンD.C.(Washington D.C.)の商業活動は停止し、投票までわずか8日と迫った米大統領選の選挙活動も中断された。

 民主党候補のバラク・オバマ(Barack Obama)大統領はスイングステート(激戦州)とされるフロリダ(Florida)州での遊説を中止し、ハリケーンの救援活動のかじ取りをするためホワイトハウス(White House)に戻った。

 オバマ大統領はまた、ニューヨーク、マサチューセッツ(Massachusetts)、コネティカット(Connecticut)、メリーランド(Maryland)、ニュージャージー、ペンシルベニア(Pennsylvania)、ロードアイランド(Rhode Island)の各州と首都ワシントンD.C.に連邦政府の災害基金を割り当てるため、これらの地域に非常事態を宣言した。

 ニューヨーク湾(New York Harbor)とロングアイランド湾(Long Island Sound)では海面水位が記録的水準まで上昇し、高層ビルが立ち並ぶことで有名なマンハッタン(Manhattan)南部では一部の道路が冠水した。(c)AFP/Sebastian Smith