【10月29日 AFP】大型のハリケーン・サンディ(Sandy)が米東部に接近し、各地で警戒が高まっている。
 
 キューバやハイチなどカリブ海諸国で66人の生命を奪ったサンディは、現地時間29日夜から30日朝にかけて米国のニュージャージー(New Jersey)、デラウェア(Delaware)州の沿岸部に上陸し、その後、カナダから下りてきた寒冷前線とぶつかって進路を北に変えるとみられている。寒冷前線とぶつかることによって、米東部諸州やオハイオ(Ohio)州などの内陸部で洪水や強風、大雪になる恐れがある。

 ニューヨーク(New York)州当局は、ニューヨーク市(New York City)の37万5000人など低地に暮らす住民数十万人に避難命令を出した。ニューヨーク湾(New York Harbor)とロングアイランド湾(Long Island Sound)では、海面が通常よりも3.35メートル高くなると予想されている。

 アンドルー・クオモ(Andrew Cuomo)ニューヨーク州知事は28日夜から地下鉄、バス、列車を運休させるよう命じた。米東部各地の拠点空港では5000便以上が欠航した。沿岸を走る列車とバスを運行しているアムトラック(Amtrak)も、週明けの29日は全便を運休する方針を決めた。

 29日は、政府職員もどうしても必要がある場合を除いて出勤しないよう指示されているほか、ワシントンD.C.(Washington D.C.)からボストン(Boston)にわたる地域では公立学校も休校になる。

 バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領は28日、米連邦緊急事態管理庁(Federal Emergency Management AgencyFEMA)から報告を受けた後、ハリケーンの進路にあたる地域の住民に警戒して地元当局の指示に従うよう求めるとともに、サンディの速度が遅いため天候の回復には時間がかかる恐れがあると注意を呼びかけた。

 サンディの進路にあたるとみられる地域には約5000万人が暮らしている。広い範囲で停電や洪水などの被害が予想されているため、住民らは電池や水などの非常用物資を蓄えてハリケーンに備えている。気象予報士らは、サンディは、2011年に米東海岸に上陸し、前年に死者47人、推定150億ドル(約1兆2000億円)の被害を出したアイリーン(Irene)よりも大型で、より大きな被害を出す恐れがあると警告している。

 11月6日の米大統領選に向けて最終盤の選挙戦を繰り広げているオバマ大統領と共和党のミット・ロムニー(Mitt Romney)候補はいずれも選挙運動の予定を変更した。サンディは投票日まで9日となった選挙戦にも影響を与えている。(c)AFP/Naomi Seck